心の健康を保つこつ

 新型コロナウイルス対策で外出自粛など日常生活の制限が続く中、気持ちが落ち込むなど心の不調が増えると懸念されている。どこに危険があり、どうすればストレスを軽減できるのか。精神医学の専門家に聞いた。

 筑波大の高橋晶准教授は災害精神医学が専門。この分野では感染症も災害の一種と見なされている。「新しいウイルスという未知のものに恐怖や不安を抱き、それによって心の調子が崩れるのは正常な反応だ」と話す。

 新型コロナ感染症に特効薬がないことや、流行終息の見通しが立たないことが大きなストレスになっている。「局地的な自然災害と違って誰もが命の危険にさらされ、強い不安を抱いている。これは長期戦。短距離走ではなくマラソンなんだと認識し、目の前の変化に振り回されないことが大事だ」という。

■簡単な作業でも

 巣ごもり生活の中では、十分な食事と睡眠を取り、適度な運動をすることが心の健康に不可欠だ。散歩などで体を動かすことも安定につながる。体調を整えることで心も整うという面もある。

 以前は忙しくてできなかった読書や家での映画鑑賞をしてみるほか、アルバムの整理をしたり、お茶を入れたりといった簡単な作業を普段よりゆっくりやるのも気分転換になる。

 悲しいニュースが多い中でも、希望を持ち続けることが重要だ。「流行が落ち着いたらやりたいことをリストにしたり、旅のプランを練ったりするのもいい」

 ただし、自分では処理できない、本当につらい状態になりそうなら専門家が頼り。「病院にかかり、相談してほしい」と高橋さんは強調する。

 帰省も止められ、離れた家族が会うのも難しい状態。だが高齢の親などには「おせっかいなくらい小まめに連絡を。孤立感を抱かないようサポートしてほしい」とした。

■交流の機会

 外出しないと人と接する機会が減ってしまう。「遠隔で連絡できるツールを活用し、意識的に人と交流する機会をつくるのが重要だ」と指摘するのは東北大の富田博秋教授(災害精神医学)だ。

 テレビやインターネットでニュースに触れる時間が長くなりがちだが「情報と向き合う時間や量を決め、コロナのことだけ考えないようにしたほうがいい」と勧める。根拠の不明確な情報は気に留めないことも大切だ。

 自分や家族に感染の疑いがある場合どうするかなど、さまざまな事態を想定し周りと共有しておくと、状況が変わっても落ち着いて対応できる。「今できることをこつこつやることが、心の健康につながる」と話した。【共同】

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