学校の休校が続いている。自由にスポーツを楽しんだり、遊び回ったりできるならいいが、行動を制約された状況ではつらい毎日だろう。学校に通い、授業を受け、部活動で汗を流し、友だちと話をする。そんな普通の日常が一日も早く訪れるように、と願うばかりである。

 あすは「こどもの日」。本日付14、15面には恒例の「ボクの夢 私の夢」の特集を組んでいるが、「将来、何になりたい?」と聞かれ、困っていたのを思い出す。中学、高校と進むにつれ、少しずつ現実も見えてくると、まさに夢のような将来は口にできなくなって答えに窮していた。

 現在、放送中のNHK連続テレビ小説「エール」は作曲家・古関裕而さん(1909-89年)がモデルになっている。その中で、少年時代の主人公に対し、森山直太朗さんが演じる恩師・藤堂先生はこう言い聞かせる。

 「他人(ひと)よりほんの少し努力するのがつらくなくて、ほんの少し簡単にできること、それがおまえの得意なことだ。それが見つかったら、しがみつけ」

 「夢は?」と問われても思い浮かばず、自分に何ができるのかと考える。思い返せば、誰しもそんな経験があるのではないだろうか。特別に秀でてはいなくても、「ほんの少し努力するのがつらくないこと」なら見つかりそうな気がして、子どもたちに伝えたい言葉だなと書き留めていた台詞(せりふ)である。

 藤堂先生に背中を押され、主人公は音楽に希望を見いだした。人との出会い、言葉との出会い。何がきっかけになるかは分からないが、興味を持ったなら、まずは挑戦し、努力をしてみることが大切なのだと思う。

 新型コロナウイルスの感染は終息せず、緊急事態宣言は延長されそうな状況にある。不自由さを感じている今だからこそ、考えてみてほしい。平穏な日常が戻ったら、やりたいことは何だろう。ほんの少し努力するのがつらくなくて、ほんの少し簡単にできることって何だろう。そこから「ボクの夢 私の夢」が見えてくるかもしれない。 

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