伊万里市に1000万円を寄付した松尾勝馬さん(右)。深浦弘信市長から感謝状を受け取った=市役所

松尾勝馬さんの寄付金を基に制作、放映された伊万里市のPR動画=福岡市天神

 佐賀県伊万里市黒川町の肉牛農家で飲食店も営む松尾勝馬さん(72)が1日、市に1千万円を寄付した。同額の寄付は3回目。新型コロナウイルスの影響で経営が痛手を負っているにもかかわらず、「ここで踏ん張れば状況は良くなると信じて、今年も寄付することを決めた」という。

 松尾さんは市内の牧場で和牛約2千頭を飼育し、家族がレストランや焼き肉店を経営している。2年前、地域への恩返しとして市に1千万円を寄付した際、「まだ現役で頑張るぞと自分を励ますためにも、寄付を毎年10年続けたい」と申し出た。

 寄付金は伊万里牛のPRや生産者支援に役立てられてきたが、新型コロナウイルスの流行で農家は計り知れない打撃を受けている。外出自粛や外国人客の激減で消費にブレーキが掛かり、枝肉価格は急落。松尾さんの牧場は「売れば売るほど赤字」になり、飲食店も苦境に立たされている。

 先が見通せないため、牛海綿状脳症(BSE)や口蹄疫こうていえきの時よりも厳しいと感じている松尾さん。「今年の寄付はパスしようかな」と漏らしたが、妻の千代子さん(70)に「3年目で挫折するとね。一度決めたことを曲げたらいかん」

と言われた。

 市役所であった贈呈式で深浦弘信市長は「本業が大変な中での寄付に感謝します。農家の人が諦めず営農してもらうために、市の方でも支えていきたい」と述べ、肉牛農家への独自の支援策を実施する考えを明かした。

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