新型コロナウイルスで影響を受けた小規模事業者や中小企業を対象にした金融支援制度の申請が日を追うごとに急増している。飲食店や旅館・宿泊業をはじめ、小売や製造、建設業など申請者は幅広い業種に及ぶ。ただ、利用者側には「制度が分かりにくい」との声があるのに加え、鳥栖商工会議所が今月半ばに開いた行政や金融機関との意見交換会では、事業者の情報源でもある金融機関が全ての取引先を回りきれていない実態も報告された。事業者への支援が喫緊の課題となる中、制度を広く周知し、有効な活用を図っていくことが重要だ。

 鳥栖商工会議所が4月に入って管内の事業所230件を回って実態調査をしたところ、飲食店や美容室などのサービス業のうち、消費者の自粛の影響を受けている事業所は8割に上った。3月の売り上げは前年同月に比べて20~30%減少したとする回答が多かったが、4月は50~80%減少という事業所が多くなり、時間の経過とともに経営の厳しさは増している。

 金融支援のうち、新型コロナの影響で経営に支障が出た中小企業を支援するため、通常の保証限度額とは別枠で保証する「セーフティネット保証」などの利用は、佐賀市で701件(4月23日現在)に上る。鳥栖市は190件(同24日現在)で、このうち104件が最近2週間に集中するなど、4月に入って急増しているという。

 その一方、現場の金融機関は窓口に訪れる融資相談などの業務に追われている。意見交換会では「取引先のまだ半数程度の案内しかできていない」「もっと周知していかなければならないが、マンパワーが足りない」といった報告が多く聞かれ、周知が思うように進まない実態もうかがわれた。

 また、本店が福岡県内にある銀行は、7日の政府の緊急事態宣言を受け、県内よりも先に時差出勤やテレワークを行い、外回りの職員を減らしていると報告した。県内の金融機関は既に残業を増やし、休日を返上して業務に当たっているが、佐賀も緊急事態宣言の対象地域になり、さらに限られた人員での対応を余儀なくされているだろう。「制度を知らなかった、分からなかった」という事業者が出ないよう、内部連携や関係機関との協力に一層知恵を絞ってもらいたい。

 セーフティネット保証は、最近の売上高が一定割合減少しているなどの利用条件があり、本店所在地の市町による認定が必要になる。ただ、市町の認定も即日のところと数日かかるところがあり、金融機関からはスピードアップを求める声も上がる。鳥栖市の場合、申請増で3日ほど待たせる状況になったため担当者を増やし、翌営業日に出せる態勢に改善したという。申請者は資金繰りがひっ迫しており、市町も対応の迅速化を図って制度の効果を高めてほしい。

 金融支援制度は次々に新たなものが打ち出され、実際の利用者からは「毎日情報が変わる」という戸惑いも聞かれる。そんな状況を受け、鳥栖市などは、新型コロナ関連のあらゆる相談を受け付ける相談窓口を設置し、担当課につなげる取り組みも始めている。事業者の経営状況は深刻化しており、活用しやすく、迅速な融資が受けられる環境づくりに向け、関係者の努力や知恵が求められる。(樋渡光憲)

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