ビデオ会議システムで第16期の決算を発表するサガン・ドリームスの竹原稔社長

 サッカー・J1サガン鳥栖の運営会社サガン・ドリームス(竹原稔社長、鳥栖市)は26日、第16期(2019年2月~20年1月)の決算を発表した。広告収入の大幅減が響き、当期純損益は20億1486万円の赤字となった。赤字は2期連続。株主による第三者割当増資を行って債務超過は回避した。第17期(20年2月~21年1月)は新たなスポンサーが見込めるとしている。

 売上高は、過去最高を記録した前期の42億5781万円から約4割減となる25億6160万円。大口スポンサーの撤退などもあって、広告収入が前期の22億9601万円から8億1052万円に大幅減となった。一方で入場料収入は7億6049万円と過去最高を記録し、グッズ関連の売り上げも2億7689万円に伸びた。

 費用に当たる販売管理費は、前期から7546万円減って36億6941万円。このうち、大部分を占めるチーム人件費は前期から1億4328万円減の24億2707万円。多くの選手と複数年契約を結んでいたこともあって、大幅な圧縮にはならなかった。

 ビデオ会議システムで会見した竹原社長は「債務超過を回避したものの、抜本的な経営の改革をしなければならない」と強調。17期の当初予算では、育成型チームへの移行を図ってチーム人件費を11億6900万円に抑えるとともに、新たなスポンサーの広告収入を計上していると説明した。 新型コロナウイルスの感染拡大でJリーグの再開が見通せない現状について、竹原社長は「無観客試合となれば経営的に大打撃になる。いかなる手段を取っても、存続に向けて全力の努力をする」と述べた。

 サガン・ドリームスの竹原稔社長の会見要旨は次の通り。

■2期連続赤字の受け止めを。

 リーグ優勝を目指し、広告収入に合わせてチーム人件費を上げたが、スポンサー撤退などで広告収入が減り、人件費が追いつかないフェーズ(局面)が発生した。選手と2~3年の複数年契約を交わしていたため、すぐに対応できず、調整に2019年度までかかった。

 ただ、株主による増資で、一番のポイントである債務超過は回避した。抜本的に経営を改革しなければいけないと考えており、育成型クラブへ移行していく。

 ■新型コロナウイルス感染拡大の影響は。

 無観客になれば興行収入はなく、経営的には大きな影響がある。(Jリーグの特例融資を含め)いかなる手段を取ってでも、クラブ存続に向けて全力で努力をする。

 ■新しいスポンサーは。

 今期、新しいスポンサーの広告収入を当初予算に計上しており、今もスポンサー側と綿密に連絡を取り合っている。育成型クラブとして若手を育てることをキーワードに、さらにスポンサー企業を探していく。

 ■活動休止中、選手はどう過ごしているか。

 ウェブ会議システムを使って、トレーニングや管理栄養士による食事指導を行っている。再開に向けたモチベーション維持のため、メンタルトレーニングや、選手間でのミーティングもやっている。