県内2例目のクラスターが発生したフィリピンパブ「ダンシング クイーン」が入るビル=佐賀市

イリュージョンが入居しているエタニティビル=武雄市武雄町

 「局面は一瞬で変わる」。山口祥義知事は23、24の両日に武雄市、佐賀市で相次いで確認された新型コロナウイルスのクラスター(集団感染)に強い危機感をにじませた。いずれも現場は夜の社交場で、感染経路をたどるのが難しい。2日間で一気に10人以上も感染者が拡大し、施設への休業要請や不要不急の外出自粛の呼び掛けを強めた。

 佐賀市のフィリピンパブでクラスターが発生したことを伝える24日の記者会見。山口知事は「夜間における人と人とが接触するようなお店の利用は、慎んでほしい」と強い口調で県民に呼び掛けた。

 ナイトクラブなどの遊興施設は、感染リスクが高まる「3密」の状態になりやく、匿名性の高さから、感染経路の調査が難航する。前日の23日夜には、武雄市のナイトクラブ「イリュージョン」で県内初のクラスター発生を確認し、「『市中感染』のリスクと向き合わなければならなくなってきた」と警戒していた。

 県はこれまで、感染者の行動歴を聞き取り、接触者を特定した上で、幅広くPCR検査をして感染拡大を防いできた。山口知事は、そうした対応が困難な局面に入ったとの認識をにじませる。「検査が飛躍的に増える中で、優先順位を付けながらやらざるを得ない。1日60件弱のフル回転という状況だ」。

 新型コロナ特措法に基づく緊急事態宣言の対象地域が16日に全国に拡大され、佐賀県は22日から5月6日までの間、遊興施設などに休業を要請している。2店舗でのクラスターは要請前に発生しており、要請による感染拡大防止の効果が一定度は見込まれる。

 7日以降も学校休校を続けるかどうかの判断に関し、山口知事は二つのクラスターを閉じることができるかや、新たなクラスターの発生がないかなどを踏まえ「5月の頭には議論しなければならない」と述べた。

 全国的には要請に応じない店舗もあり、大阪府はパチンコ店に対し店舗名公表を伴う強い要請に切り替えた。こうした要請や指示の可能性に関し、山口知事は「基本的には要請に応じてほしいが、それがだめなら段階を踏んでいく」と述べ、繁華街の巡回などで実態把握を進めると話す。

 県は医療崩壊を防ぐための取り組みとして、今月6日に医療関連の新組織「プロジェクトM」を発足させた。クラスターの発生で県内の入院患者は30人近くに膨らんだが、受け入れの病床は当初の24床から70床程度にまで増えている。不透明な感染状況を踏まえ「100床以上を準備したい」と述べた。

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