新型コロナウイルス対策を検討する政府の専門家会議は人の接触8割削減の目標が達成できていないとして、人が集まるスーパー、公園への対策や旅行の自粛を要請した。

 何とか止めたい感染拡大、逼迫(ひっぱく)する医療体制、ともに光明を見いだすか否かは、私たちがどれだけ我慢の大型連休を過ごせるかにかかっている。

 政府が7都府県に緊急事態宣言を発した7日の累計感染者5千人超は9日後に倍増した。専門家会議の分析では、13の特定警戒都道府県での増加が7割強を占め、東京都と大阪府では感染源不明の患者が8割に上った。死亡者も増加の一途だとした。日本は依然厳しいとの判断は妥当だろう。

 専門家会議は、感染者を1カ月で大幅に減らすため人の接触8割減が必要としてきた。だが尾身茂副座長は「達成できているとは言えない」と表明。根拠として都内主要駅の人出が7~9割減った一方、公園の利用者が増加傾向だと指摘した。

 親子など多くの人が息抜きに公園へ集まり感染リスクを高めている。屋外も安心できないと認識を改める必要がある。さらに、大型連休の行楽を断念した人たちが、地元のスーパーや商店街に向かう展開にも、専門家会議は危機感を強める。

 このため会議は提言の中で、接触8割減に向け「スーパーは少人数ですいている時間に」「公園はすいた時間、場所を選ぶ」など「10のポイント」を示し連休も自宅で過ごすよう求めた。望郷の念を押し殺す「オンライン帰省」などは実に切ないが、ここが踏ん張りどころと考え行動したい。

 東京都はスーパーの混雑解消のため、買い物を3日に1回程度とするよう都民に呼び掛けた。大阪府もスーパーの入店制限に関し事業者側に要請する方向だ。外出機会が減った今、そろって買い物をする家族も多い。国、自治体、業界は協力して対策を急ぐべきだ。

 一方、医療体制について専門家会議は、大都市圏は「感染者数の増加スピードに追いついていない」、医療基盤が弱い地方も「早い時期に現場へ圧迫が生じる」と指摘。特に最近続発している院内感染への対策が急務だと警鐘を鳴らした。大規模な院内感染は、がんや心臓疾患などの手術も止めてしまい、新型コロナ以外からの医療崩壊を招く危険性も高い。

 医療崩壊防止には、医療機関は重症者優先とし、軽症者をホテルや自宅待機とする体制強化が引き続き重要だ。同時に、感染者に早く適切な処置をするための検査拡充も欠かせない。そのために専門家会議は新たな受診目安を示した。従来は「37・5度以上の発熱が4日以上」だったのを、お年寄りや糖尿病などの人は異常を感じたら「すぐにも相談」と改めた。

 保健所の判断で軽症者として自宅待機していた埼玉県の50代男性が、急速に容体が悪化し死亡するケースも起きた。新型コロナは軽症、無症状の人も多いが、容体が急変する特徴もある。命を救うための目安見直しはもっと早くすべきだった。

 政府は今後の状況分析も踏まえ、5月6日までとした緊急事態宣言の期限を延長するかどうか5月初めにも判断する。ただ、あと2週間足らずで感染が終息に向かう見通しは立っていない。まずは連休対応に集中し、その先には各地域の状況に応じた段階的解除なども検討すべきだ。(共同通信・古口健二)

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