「対馬府中人目図屏風」左隻(縦165センチ×横362センチ、提供)

「対馬府中人目図屏風」右隻((縦165センチ×横362センチ、提供)

 東京都港区の古美術店「古美術白水」店主寺﨑正さん(74)=佐賀市出身=所蔵の屏風(びょうぶ)「対馬府中一目図屏風」が、江戸時代後期の対馬府中を描いていると、古美術研究誌「國華(こっか)」(國華社刊)第1492号で紹介された。大画面に整然と並んだ街並みや商家のにぎわいが詳細に描かれ、朝鮮国との外交や貿易を担った対馬宗氏の繁栄が見て取れる。

 6曲1双で、宗氏の居城から現在の厳原港までを一望でき、社寺や通りの名前も記す。商人や職人の町屋が建ち並び、繁栄がうかがえる。屏風を調査した神戸市立小磯記念美術館の岡泰正館長は「朝鮮国と接点を持った対馬という特殊な土地を描いた、歴史的にも面白い資料」と話す。

 岡館長は左隻の左隅に描かれた朝鮮通信使の客館の存在から、屏風は1811年ごろに制作されたと推察する。これは多久市出身の儒学者・草場佩川(はいせん)が対馬に滞在し、「対馬日記」を記した年とも重なる。

 寺﨑さんは2018年に古美術市場で屏風を発見。どこを描いているのか不明ながら、繁栄した街並みの描写が目に留まり購入した。近似した構図で中型の屏風「対馬府中図屏風」は重要文化財として、九州国立博物館に収蔵されている。

 寺﨑さんのルーツは、対馬藩の飛び地だった現在の唐津市浜玉町浜崎にある。寺﨑さんは「これも何かの縁。屏風との貴重な出合いは天の恵み」と話す。

 同誌は岡倉天心(1863~1913年)、高橋健三(1855~98年)らが1889年に創刊した。日本と東洋の古美術研究誌として知られている。

 ▼「國華」第1492号はB4判47ページ、税別5千円。問い合わせは朝日新聞出版販売部直販担当、電話03(5540)7793。

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