「映像編集技術で表現活動を支援したい」と話す山下勇希さん(右)と代表の山下由紀恵さん=武雄市武雄町のスタジオインプット

 外壁にはブルースロックの名盤「いとしのレイラ」のジャケット画が描かれている。店の入り口には、県の休業要請の前から「しばらく休業」の張り紙があった。武雄市武雄町のイベント音響会社スタジオインプット代表の山下由紀恵さん(62)は「張らなくてもお客さんは来ないけど、『張り紙があるからだ』と思えたほうが精神的に楽だから」と苦笑いする。

 イベントの音響や映像技術、貸しスタジオやライブハウスの事業を手掛けている。大阪のライブハウスで新型コロナウイルスの集団感染が発生した前後、2月中旬から仕事のキャンセルが相次いだ。「そのころから無収入。蓄えを取り崩して生活しているけれど、いつまで持つだろう」

 流れた仕事には、山崎まさよしさんが5月に出演を予定していた武雄市の佐賀豪雨チャリティーライブもある。結婚披露宴の映像編集もキャンセルが続いており、息子の勇希さん(35)は「泣きながら式のキャンセルの書類に署名する夫婦もいると聞く。つらいのは自分だけではない」と話す。

 そんな中、勇希さんは「人が集まれない今だからこそできる挑戦を支援したい」と、新たな映像編集の事業を始めた。離れた場所にいるバンドのメンバーたちが録音・録画したデータを一つの映像作品にする。

 「音のバランスや映像の効果など、プロの技術を駆使して驚かせる。ステージが中止や延期になっても、表現活動を諦めないでほしい」

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