福岡県からの人の流れを抑制するため、道の駅は休業要請の対象となった=神埼郡吉野ヶ里町の道の駅吉野ヶ里「さざんか千坊館」

カウンター越しに接客するオーナーの真柳直樹さん=20日午後、佐賀市白山のレストランバー「酔美」

 山口祥義知事が新型コロナ特措法に基づき、休業や営業時間短縮の要請先を明らかにした20日、県内にはさまざまな声が飛び交った。1店舗当たり15万円の支援金について飲食店などが「本当にありがたい」と評価する一方、対象から外れた旅館からは「今は我慢する時」と嘆きも。県の独自判断で休業を告げられた「道の駅」の関係者からは戸惑いも見られた。

▽道の駅、休業要請に困惑

 福岡県との県境、国道385号沿いにある道の駅吉野ヶ里さざんか千坊館。地元でとれた新鮮な農産物などを求めて週末には7~8割が福岡から買い物に訪れる。持永信弘館長(62)は「検温や密集を避けるなど、考えられる限りの対策を続けていたけど…」と急な要請に困惑する。

 野菜を出荷している地元生産者は全体で約170人。その調整もあり、「1週間ほど準備の時間をもらえるとありがたいけど、そうした時間はもらえるんだろうか」。5月6日までとされる要請期間についても不透明で、「考えることが多くて、頭が痛い」。

 道の駅鹿島の藤雅仁駅長も「生産者の野菜が行き場をなくしてしまう」と懸念する。スーパー同様に地域住民が食料品を買い求める場と強調し、「すぐに閉鎖というわけにはいかない。利用してくれるお年寄りらのことも考えなければ」と話す。

 一方、理解を示すところも。道の駅伊万里ふるさと村の責任者市丸孝行さん(48)は「すでに客は7割減で営業を続けようか迷っていた。知事から要請してもらった方が、こちらも休業しやすい」。

 休業の対象にはキャンプ場も入った。鳥栖市の河内ダム湖畔にある滞在型農園施設「とりごえ温泉 栖の宿」のミニキャンプ場は週末、県外ナンバーがずらりと並ぶという。市の担当者は「キャンプ場まで含まれるのは想定外。要請内容を確認し、早急に対応する」と語った。

▽飲食店「長引けばすべて失う」

 「断腸の思いだが、お客さまや従業員を守るため、今はじっと我慢する時」。竹崎かに旅館組合(藤津郡太良町)の荒川信康組合長(50)は苦しい胸の内を明かす。今回、旅館は県の休業要請の対象から外れたが、同組合は20日、全9軒で連休明けまで自主休業することを決めた。

 すでに多くの旅館でキャンセルが相次いでいる。加えて、ゴールデンウイークは本来は稼ぎ時。「補償あるなしの議論も必要だが、今はこれ以上コロナを広めないこと」と荒川組合長。県は宿泊業への支援も明言しているが、終わりの見えない闘いに不安はぬぐえない。

 補償対象になった飲食店やバーは前向きに受け止める。創業50年の老舗カレー店「アムール」(多久市)。福岡など県外からの利用が途絶えた4月上旬からは、来客が半分以下になったという。宮原誠店長(33)は「休んだら補償するというのは分かりやすい。営業時間短縮や休業はお客さまには申し訳ないが、クラスター(感染者集団)の発生は避けたい」と率直に語った。

 佐賀市のレストランバー「酔美(すいび)」を営む真柳直樹さん(58)は「開店休業状態だったが、いったん閉めると、次に開けるタイミングが難しい」と述べ、県の要請が休業に踏み切る契機になると話す。「県の支援は本当にありがたい。ただ、いつ終息するのか。長引けば32年間積み上げてきたものが、全てリセットされてしまいそうだ」とつぶやいた。

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