香川県で3月、全国初の「ネット・ゲーム依存症対策条例」が制定され、今月施行された。スマートフォンやインターネット利用の低年齢化が進む中、利用時間を制限するルールを各家庭でつくり、その順守を求める内容だ。新型コロナの感染予防で学校の休校措置が広がり、子どもたちがパソコンやスマホに接する時間がさらに増えている。ネットやスマホとどう付き合っていくか。多くの家庭に共通する問題だけに、香川県の取り組みに注目したい。

 今や生活に欠かせない道具となったスマホ。財布や辞書代わりにもなり、電話というより、まさに「ポケットコンピューター」である。その有用性は大きい。一方で「スマホやネットの使用を続けることで昼夜逆転する。成績が著しく下がるなどさまざまな問題が起きているにも関わらず、使用がやめられない」など「スマホ・ネット依存」という言葉が使われるようになった。世界保健機関(WHO)は昨年5月、オンラインゲームなどのやり過ぎで日常生活が困難になる「ゲーム障害」を新たな依存症として認定した。

 香川県の条例はこうした状況を受け、県議主導で制定された。子ども(18歳未満)をゲーム依存症にさせないため、学校、保護者の責務を明確にし、保護者には「コンピューターゲームは1日当たり60分(休日は90分)まで」、スマホの使用は「中学生以下は午後9時、高校生は10時まで」とするルールづくりと、その順守を求めた。

 条例案が示された段階から県民の意見はさまざま。「子どもがゲームをやめられずに困っている。時間制限は必要」といった賛成意見が多かったが、反対意見では「条例制定の根拠となる具体的データに乏しい」「そもそもなぜゲームやスマホだけを規制するのか」といった条例の意義自体を疑問視する声が目立ったという。

 新型コロナの感染予防による学校の休校を受け、ネット上では、学習教材をはじめ子ども向けの無料コンテンツが多く提供され、オンライン授業などの試行も始まった。一方で、子どもたちが一日の大半をパソコンやスマホの画面を見て過ごすとしたら、保護者としては心配になるだろう。何歳になったらスマホを持たせるのか、保護者の考え方も千差万別だ。

 棒を持っている幼児に「振り回したら駄目よ」と注意すると、幼児は使い方が分かって振り回す。だから、気づいた親は「棒を取り上げる」のだという。確かに、有無を言わせず、取り上げなければいけない物はある。だが、スマホやネットは、そうではない。今月6日、読者の声のページに掲載された神埼中の八戸野瑞姫さんは「スマホは現代社会において生活必需品。学力低下にならぬように使用時間を決めることが必要である。SNSでのいじめや、詐欺といった事件にまきこまれないよう、正しく使用することが大切だと思う」との意見を寄せていた。

 子どもたちにとって、大人から押しつけられたルールは守りたくないもの。家庭では家族会議、学校では児童会や生徒会で子どもたち自身にネットやスマホの功罪を考えさせ、自らルールを決めることが大事だ。香川県を参考にもう一度、そんな取り組みを進めていきたい。(中島義彦)

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