自室で大学のオンライン授業の準備をする太田さん。パソコン画面越しにしか同級生の顔を見ていない=東京・小金井市の学生寮「松濤学舎」

 大学に行ったのは2回だけ―。東京都内の大学に通うため、佐賀県から上京した新入生たちは、受験当時は想像もしていなかった大学生活を送っている。新型コロナウイルスの感染拡大防止のため、大学で同級生と直接会う機会がないままパソコン越しの大学生活を送り始めている。自らが感染源になるリスクを考えると帰省も難しく、「佐賀の家族といつ会えるのかも分からない」と気をもむ。

 杵島郡白石町出身で東京大1年の太田洸陽さん(18)は入試合格後、入学手続きと健康診断の2回しか大学に行く機会がなかった。4月2日の健診では2メートル間隔で並び、同級生と話せる雰囲気ではなかった。

 ウェブ会議の要領で大学のガイダンスがあり、パソコンの画面越しに同級生や先輩たちの顔を見た。サークル紹介も同じように画面越しだった。チャットでコミュニケーションを取ることはできるが、人柄や団体の雰囲気をつかむには直接、話をしたいと思う。

 佐賀県関係者を受け入れる男子学生寮「松濤学舎」(小金井市)に入寮している。寮には新入生5人が在籍していて、うち2人は上京を見送っている。同時期に上京した東海大1年の原柊太朗さん(18)=武雄市出身=、埼玉大1年の桑原健伸さん(19)=鳥栖市=は状況が似ており、3人で雑談することが気分転換になる。

 3人は、春期はオンライン授業になるという見通しが各大学から伝えられたため、一時帰省も検討した。

 原さんが親に相談したところ、「帰省者から感染するケースも出ているから、そうなったら大変だから、東京にいた方がいい」と言われた。苦渋の選択に、揺れる親心を感じた。「ここにとどまることができているのは、先輩や同級生、舎監さんたちがいたから。寮でよかった」と話す。

 桑原さんはゴールデンウイークの帰省を見送る。「夏休みには帰りたいけれど、どうなるんだろう」。街を歩くのも上京の楽しみだった。今は、ほとんどの時間を寮で過ごす。

 太田さんは、20日からパソコンでオンライン授業を受ける。大学から必要なソフトや操作方法の通知が届き、準備を進めている。

 「大学に行って、同級生と会って話したい。サークルとかアルバイトとか、大学生らしい一日を送ってみたい。当たり前だと思っていたことがこんなに遠くなるなんて、想像もしていませんでした」。パソコン画面でしか見たことがない同級生に、早く会いたいと思っている。

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