今から40年くらい前は「収縮期血圧(上の血圧)が140mmHg以下で、かつ、拡張期血圧(下の血圧)が90mmHg以下」を正常血圧といい、「上が160mmHg以上、または、下が95mmHg以上」を高血圧と呼んでいました。その後の大規模な医学研究により、血圧はより低い方が脳卒中の起こる危険性が低いことが分かり、基準がだんだん低くなってきました。そして診察室での血圧よりも家庭での血圧の方が、高血圧の治療方針を立てる上でより重要であることもわかってきました。

 患者さんからすると、わざわざ血圧計を購入しないといけないのであまり気が進まないかもしれません。しかしこれが目標への第一歩となります。特に起床時の血圧の急上昇が良くないことがわかっており、朝の忙しい時間に血圧を測ってもらうことになります。これはどうしても診察室では測定できないので何とかお願いしています。

 現在、75歳未満の方の目標値は、診察室では「上が130mmHg以下、下が80mmHg以下」、家庭では「上が125mmHg以下、下が75mmHg以下」となっています。75歳以上の高齢者の方でも、診察室では「上が140mmHg以下、下が90mmHg以下」、家庭では「上が135mmHg以下、下が85mmHg以下」となっています。

 75歳未満の目標値を見てかなり低いと感じられる人が多いのではないかと思います。私も治療をこれから始めようとしている患者さんにいきなりこの数値を求めるのはかなり厳しいと感じています。家庭の血圧の数値としては、まず「上が140mmHg以下、下が90mmHg以下」を最初の目標にして、次に「上が135mmHg以下、下が85mmHg以下」を目標にします。私は100点満点の60点と表現しています。そして可能であれば100点満点である「上が125mmHg以下、下が75mmHg以下」を目指します。

 せっかく真面目に通院されているのに、自宅で血圧を測定されておらず、血圧のコントロールが不十分ではないかと思われる方にお会いすることがあります。せっかくですから目標をもう一度確認し、我々と一緒に良い点数を目指して頑張っていきましょう。(佐賀大学医学部附属病院 卒後臨床研修センター専任副センター長 江村正)

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