新型コロナウイルスによる肺炎が問題になっています。理由は確定されていませんが、小児(生後1月~14歳)では重症化する子は少ないようで、中国からの報告では肺炎が認められてもほとんど1~2週で回復しているようです。また、感染した9人の妊婦から出生した赤ちゃんについての報告によると子宮内感染はおきていないようですし、母乳へのウイルス排出も確認されていません。

ヒトは鼻と口から空気を吸い込んで、咽頭、喉頭、気管を経由して肺に送り酸素を体に取り込みます。病原体ウイルスが肺に入り込み肺炎を起こすとその機能が障害されて、酸素不足で息が苦しくなります。呼吸数が増え、せきやたん、発熱、食欲不振、倦怠(けんたい)感などの症状が生じます。診断は胸部のX線写真撮影やCT検査で行います。

インフルエンザやアデノウイルスなど風邪症状をおこすウイルスの多くが肺炎をおこすことが知られており、コロナも同様です。インフルエンザなど一部のウイルスを除き、薬が有効なウイルスは現時点では限られています。病原体が判明して有効な薬があれば薬を使用し、輸液、酸素投与、人工呼吸器、人工肺(ECMO)による呼吸の補助など、“支持療法”と言われる手助けの治療をします。薬がなければ、支持療法を受けている間に自分の免疫の力でウイルスに対抗できる抗体をつくり、ウイルスを殺す免疫細胞の力も高めて、ウイルスを排除しなければなりません(※)。

今回のコロナウイルス (COVID-19)を含むウイルス性肺炎の対策は、①一度に大量のウイルスを体の中に入れないようにする(マスクや手洗いはその目的に対して有効です)。②免疫力を高めるために、十分に栄養をとる(特にタンパク質)、よく寝て休養をとる、体を動かす(適度な運動)ことだと考えられます。

ワクチンがなく、有効な薬がなかった時代の“インフルエンザ”は、今回のCOVID-19より毒性が強くて、流行時には多くの人が死亡しました。交流が避けられない現代、我々が初めて遭遇する未知のウイルス疾患が今後も国内に入ってくると推定されます。ワクチンや有効な治療薬のないウイルス感染の流行に対抗するには、感染症についての“衛生の知識”と“栄養、休養、適度な運動による免疫力の強化”が必要です。

 

※つい最近10カ月乳児1人の死亡が報告されています。こどもが全て軽症ではありません。やはり注意が必要です。

 

浜崎 雄平(はまさき ゆうへい)
佐賀整肢学園 からつ医療・福祉センター顧問。佐賀大学名誉教授。
1948年、鹿児島県日置市生まれ。九州大医学部を卒業し、テキサス大やオクラホマ大研究員などを歴任。
84年から佐賀医大(現佐賀大学医学部)小児科講師として勤務し、00年に同大小児科学教授就任、09年から医学部長を兼任する。
14年から現職。専門分野は小児の呼吸器/循環器疾患、アレルギー疾患。

 

このエントリーをはてなブックマークに追加