東日本大震災から9年。3月は紙面に震災関連の記事を頻繁に見ることができた。そのすべてを書き連ねることはできないが、特に心に刻まれた記事は、11日付「『3・11』の教訓伝え100号」(有田工業高校生徒会)、「避難所体験 未来開く」(フィリピン人ジャニスさん)、そして13日付「ふるさとの復興 貢献したい」(福島出身の高校3年・武藤さん)である。いずれも震災当時小学生や20代であった若者が震災を忘れずに前を向いて歩んでいく姿を細やかに伝えてくれた。代々の有田工高の生徒たち、ジャニスさんと武藤さん、そして若い彼らを取り巻く人々の「9年間」に思いをはせながら読んだ。

 さて3月のみ購読した河北新報(仙台市本社の東北ブロック紙)は、「再生へ心ひとつに」のスローガンのもと、ほぼ全ページにわたり震災関連の記事を掲載している。「9年たっても多くの人が被災の真っただ中に置かれている」「心の復興はこれからが正念場」との文言が並ぶ。そのメッセージを受け止めたかのような(佐賀新聞の)論説「福島の声に耳を傾けよう」(9日付)は、いずれも佐賀県出身者の作品である「福島は語る」(映画)、そして桜のトーチ(聖火リレー使用)をテーマに取り上げ、それらに寄せる記者の深い思いが伝わり心に響いた。とりわけ震災から10年となる来年3月に向けて、ぜひ一つのテーマを1年間とことん取材し、東日本大震災の「10年」を 佐賀の読者に伝えてほしいと切に願う。

 新型コロナウイルス問題により、日々刻々変化する情報に誰もが振り回される中、記者日記「突然の脚光」(11日付)では休校中の子どもたちに対応する学童保育のこと、デスクノート「後手」(15日)では当事者である子どもよりも大人の事情を優先させたともいえる休校措置に言及し、課題多き子ども政策の現状が浮き彫りになった。

 それに関連して「シングルマザー記者、臨時休校初日リポート」(4日付)そしてその後日談も含めた記者日記「思いやりの広がり」(25日付)は共感しながら読んだ。さらに保育の分野では「佐賀市の家庭内保育要請 休日取得に保護者不安」(17日付)、「家庭内保育の要請解除 佐賀市、感染広がりなく」(27日付)が気にかかった。この要請については、県と佐賀市でまったく態度が違うことも驚きだ。今回コロナ騒動に乗じて世の中に広く知れ渡った感のある上記の種々の問題については、新聞においてもさらなる検証をしてほしいものだ。

 来年3月、佐賀新聞紙上にて「東日本大震災10年」特集を読み、「風化という『時の壁』を克服」(11日付論説より)するきっかけを見い出せることを期待している。

=3月分(とみた・まり、佐賀市)

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