焼香のみの参列をお願いするボード。いすの間隔も広く空けられている=佐賀市神野東のJAプレアホール佐賀

 喪服を着た参列者は焼香を済ませて近親者に声を掛けると、足早に斎場を後にする。入り口には手指の消毒液、会場にいるほとんどの人がマスク姿。会場には、1席分の間隔を空けて椅子が並べられていた。新型コロナウイルスの感染拡大は、故人をしのぶ葬送の場の風景も変えている。

 佐賀県内で26葬祭場を経営するJAセレモニーさが葬祭事業部の成清弘常部長は「当初はお客さまへの提案という形だった」と話す。3月下旬、愛媛県の葬儀で集団感染が確認されてからは、利用客から感染を防ぐ手立てを求める声が寄せられるようになったという。

 一般参列者には張り紙で、焼香だけで故人を追悼してもらうようにお願いし、密集、密閉、密接の「3密」を避けるように努めている。近親者と一般参列者が一緒になって出棺まで見送るのが一般的だが、近親者だけの「家族葬」が増えた。「盛大に送ってあげることができれば…」という声は、ほとんど聞かれない。

 感染後の重症化リスクが高い高齢者が多く訪れる葬儀。宗教上の最低限の礼節を守りながらも、感染予防には細心の注意を払う。成清部長は声を落とした。「最後のお別れを制限するのは心苦しい」

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