長さ約10メートルのくいを打ち込み擁壁の基礎作りが進む坂田哲也さん宅周辺=熊本県阿蘇郡西原村

道幅を広くし、崩落を防ぐ擁壁の建設が進む坂田哲也さん宅周辺=熊本県阿蘇郡西原村

 震度7の前震があった熊本地震から14日で4年。死者9人、建物損壊約2500棟に及んだ阿蘇郡西原村は、佐賀県からも物的、人的両面の支援を受けて復興への歩みを進め、崩落を防ぐ擁壁の整備を続けている。生活インフラなども震災前の水準に戻りつつあり、村民の意気込みが高まる一方、新型コロナウイルスの感染拡大が被災者の思いにも暗い影を落とす。現状を追った。

 西原村は、九州各県が支援自治体を割り当てる方式で佐賀県が担当してきた。2019年度は唐津、武雄、鹿島の3市が1人ずつ派遣し、3月末で終了した。

 集落の建物の94%が損壊した大切畑地区。4月初旬、地区を一望できる大切畑大橋に立つと、重機の音は1年前と同様に耳に届いたが、景観は一変した。白く巨大な擁壁が地区を囲い込むように整備されていた。

 「震度7にも耐えられる。もう少し景観に配慮してほしかったけどね」。元区長の坂田哲也さん(63)は自宅が一部損壊にとどまったため地区に残った。地中に埋め込まれた直径1メートルの鉄のくいがむき出しになった擁壁の基礎部分を指さしながら「ここに住む安心感が出てきた」と話す。

 大切畑地区は震源の一つ布田川断層帯上にあるため、村内外の別の場所に住まいを移す住民が相次いだ。造成復旧後、この地区に戻る意思を示したのは、震災前の24世帯のうち半数の12世帯だけだった。

 それでも復旧状況を見るにつれ「気持ちは前向きになった」と坂田さん。3月末までに2世帯が地区に戻った。前震から2日後の本震で橋げたがずれ、通行止めになった大切畑大橋が昨年9月に開通すると、住民の阿蘇方面への往来も頻繁になった。

 坂田さんらは、生活や交通のインフラが戻りつつあることから、地区住民で復興を誓う「レンゲ祭り」を計画。開花が予想される4月18日の開催を目指し、会合を開いたり、昨年秋にレンゲソウの種を農地にまいたりして準備してきた。

 「新型コロナウイルスの影響で、復興への決意を新たにする場がなくなった」。熊本県では14日現在、30人が感染。西原村を含む阿蘇保健所管内でも複数の感染者が確認され、祭りは中止を余儀なくされた。

 坂田さんは「被災からの地域再生は、住民が動くことで実感できる。しかし、新型コロナの影響で外出自粛が求められれば、それもかなわない」。坂田さんは焦りを募らせている。

このエントリーをはてなブックマークに追加