ピアノで二つ以上の音を同時に鳴らした時、耳に心地よい音を「協和音」、不安定に感じる音を「不協和音」という。他の組み合わせが良くても、一組でも相性が悪いと不協和音とされる◆この不協和音、踏切の警報など意外に役立てられている。人を不安にさせる音階の緊急地震速報もその一つ。2016年4月14日と16日、テレビやスマホから警報音が鳴り響いた。熊本で最大震度7、佐賀で震度5強を観測した熊本地震から4年がたつ◆地震列島の日本。さまざまな研究は進んだが、地震発生の予知は難しい。せめて大きな揺れが来る前に「頭を守る」「逃げるために窓を開ける」といった最低限の備えを促そうと、07年10月に緊急地震速報が本格運用された◆しかし、「自分の周りでは災害が起きない。起きても自分は大丈夫」という、不安を打ち消す心理によって、備えは甘くなりがちだ。誰しも最悪の事態は想像したくないが、それでは惨禍を招く。地震を防ぐことは不可能でも、知識を深めることで、「想定外」の事態にも備えることはできる◆人を不安にさせる不協和音は、別の協和音とうまく組み合わせる技術で心地よい響きに変えることができるという。「過去の災害の教訓を忘れない」ことに加え、「自然への畏敬の念を忘れない」ことが、その協和音かもしれない。(義)

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