佐賀県内の多くの小学校で10日、入学式が開かれた。小城市小城町の4校では、子どもに人気のキャラクターを描いた黒板アートが新入生を祝福した。手掛けたのは、今春から西九州大に通う小城町の古賀百葉(ももは)さん(18)。「新しい環境に戸惑う子どもたちを笑顔に」と、3月下旬から1週間かけて各校を回り、こつこつと仕上げた。
新型コロナウイルスの感染拡大を受け、多くの学校が在校生の参加を制限するなどの対応を取った。古賀さんも大学の入学式が中止になった。「沈みがちな気持ちを明るくしたい」。自身の思いを託すように色とりどりのチョークを走らせた。
学校の協力は、古賀さんが所属する文化系の市民グループが取り付けた。母校の桜岡小に加え、岩松、晴田、三里の4校9学級の教室に「トトロ」や「ミニオンズ」を描いた。それぞれに「おめでとう」のメッセージを添えた。
このうち岩松小では、「トトロが笑ってる」などと元気に喜ぶ声が響き、黒板の前で子どもの写真を撮る保護者の姿もあった。新入生の山口望那みなさんは「いろんな色があって、とってもかわいい」とほほ笑んだ。
古賀さんは、小城中時代に美術部、小城高では書道部で活躍。全国規模の公募展で大賞や一席に選ばれた実績も持つ。4月からは社会福祉学科で学び、「地域に元気を届ける社会福祉士」を目指すという。
制作の様子も見守った岩松小の砂後(いさご)典之校長は「子どもたちへの温かなまなざしや思いが十分に伝わったと思う」と感謝した。