福岡県も対象になった緊急事態宣言から一夜明けた8日朝、鳥栖市のJR鳥栖駅では、これまで通り会社に向かったり、時差出勤したりと、さまざまな通勤客が行き交った。一層の外出自粛の要請に理解を示しつつも、勤め先の取り組みは温度差があり、複雑な表情をのぞかせた。
普段は各方面への通勤・通学客で混み合う午前7時半ごろ、改札を通る人の流れは絶えない一方、ホームが混雑する様子はなかった。駅員は「3月末ごろから、この時間帯の通勤客も半分以下に減った印象。時間をずらして出勤している人がいるようだ」と話す。
福岡県糟屋郡まで通勤している流通・小売業の男性会社員(44)=鳥栖市=は「勤務先からテレワークや時間差出勤が推奨されてはいるが、パソコンの持ち帰りができず、なかなか難しい」と首をかしげる。緊急事態宣言を受け「自分が感染している可能性を前提に考え、相手との距離を取るなどの行動は一層心掛けたい」と話した。
福岡市内のコンサル会社に勤める非正規雇用の女性(25)=同=は「取引先に印刷物を渡すため、出勤しないわけにはいかない。休んだ分が補償されるなら休みたいけど、会社からは特に何も言われていない」とあきらめ顔だった。
一方、午前9時前に駅に着いた公務員の男性(55)=久留米市=は「きのうはテレワークで、きょうは時差出勤。普段より1時間近く遅らせている。博多まで行くが、混雑していないので安心感はある」。緊急事態宣言の発令で感染拡大防止の取り組みがさらに進むことを期待した。