「対面での販売が売りだったけれど、イベントがなくなって難しくなっている」と話す靏健寿さん=三養基郡基山町園部の鶴製茶

新茶の初摘みに備え、茶畑を手入れする鶴製茶の靏和幸さん(右)、健寿さん親子。「摘み取っても、このままだと出口がない」と不安を口にする=基山町園部

 新型コロナウイルスへの緊急事態宣言の対象地域になった福岡県を営業エリアにしている鶴製茶(三養基郡基山町)の靏健寿(たけひさ)さん(30)は「もうすぐ新茶の季節なのに、このままじゃ出口が見えない」と不安を募らせている。

 「2月中旬までは例年通りだったのに…」。健寿さんの父親で2代目の和幸さん(65)は急速に拡大した影響に眉をひそめる。

 鶴製茶は栽培・加工からの一貫経営で、問屋に卸さず、販売も手掛ける。販路拡大を試み、近年は博多駅前で開かれる産直イベント「博多ファーマーズマーケット」などにも積極的に参加してきた。今年は2月下旬から3月にかけ、福岡県での5件を含む8件の催しに出展する予定だったが、感染拡大で全て中止になった。直売所に商品を出すなどして売り上げ維持に努めたが、3月は前年からほぼ半減したという。

 健寿さんは「無農薬栽培などの魅力を直接伝えたくて、対面販売に力を入れてきた身としては、その場がなくなるのはきつい。ウェブサイトやSNS(会員制交流サイト)での情報発信や販売に力を入れるしかない」とこぼす。

 鶴製茶は「つつじ寺」として有名な基山町の大興善寺の門前にあり、ゴールデンウイークを含む4月中旬から5月上旬までの売り上げが年間の1~2割を占める。政府は緊急事態宣言の期間を5月6日までとしており、時期が重なる。和幸さんは「ツツジを見に来るお客さんは福岡からが大半を占めている。昨年までのような売り上げは見込めないだろう」と肩を落とす。

 政府は影響を受けた個人事業主に100万円を給付する緊急経済対策を打ち出しているが、給付が開始されるまでは時間がかかりそうだ。「目の前の資金がないのに待っていられない」と和幸さん。運転資金を確保するため、既に町商工会を通じて日本政策金融公庫から融資を受けたという。

 基山町商工会によると、約260の会員のうち、運送業や飲食業などに影響が出ているという。3月から設けた相談窓口には運転資金の借り入れなど、連日10件余りの相談が寄せられている。佐藤渉事務局長は「早急に融資が受けられるように、慎重かつスピード感を持って対応している」と話す。

このエントリーをはてなブックマークに追加