テレビで安倍首相の会見を見つめる中華料理店を営む女性。夕食の時間帯だが、客の姿はなかった=7日午後7時13分、佐賀市

 東京や福岡など7都府県を対象に緊急事態宣言が発令され、新型コロナウイルスの感染が徐々に広がる佐賀県内の住民にも動揺が広がった。「人ごとではない」「移動を控えないと」。街中は人通りが少なくなり、対象地域に離れて住む家族の状況や宣言に伴う暮らしへの影響など、先行きに不安を募らせた。

 「福岡では感染が拡大し、親も敏感になっている。人ごとではない」。福岡県大牟田市に家族が住む佐賀市の大学院生の女性(23)は、宣言が福岡県も対象になっていることから「しばらくは実家に戻らない」。現在は就職活動中で「都市部では今も説明会が続いているけど、行くのはためらってしまう。宣言が出ても外出禁止などの強制力はなく、今の状況がだらだら続く方が心配」と気をもんだ。

 三養基郡基山町から福岡市に通う公務員男性(31)は「ウイルスを持って帰る可能性があるので、手洗いなど予防を徹底して、家で3歳と1歳の子どもにうつさないことを一番に考えている」という。JR博多駅では大半の人がマスク姿で警戒が強まっており、「宣言後はさらに状況が変わるのではないか。感染を広げない点では評価するが、飲食店などはたまらないだろう」と推し量る。

 子ども3人が就職や進学で関東の対象地域に住む杵島郡の男性(54)は「子どものバイト先では、宣言後も仕事を続けていいか親に確認するように言われたようで、深刻さを痛感する」。わが子の感染を心配しつつ「本人も感染源になって広めたらいけないとの思いから、佐賀に戻るつもりはなさそう」と話した。

 佐賀市中心部の繁華街は、宣言が発令された夜も人はまばらだった。中華料理店を営む女性(63)は、安倍晋三首相の会見をテレビで見ながら「売り上げが半分以下になっている中で対象に福岡が入り、さらに客足が遠のきそう」と吐露した。別の飲食店を営む男性(50)は「これだけ客が減ると、人件費や仕入れで店を開けるほど赤字になる。これからは平日は閉める店も出てくるだろう」と顔を曇らせた。

 「宣言は遅きに失した」。佐賀市の介護福祉施設を運営する60代女性は政府の対応を批判した。全国で老人福祉施設での集団感染が相次いでおり「少なくとも3月中に発令しておけば、状況はかなり違ったのでは」といぶかる。宣言の対象に福岡県が含まれたことに関し「親類など福岡と関わりのある入所者や職員は少なくない。面会や行動の制限を呼び掛ける上で有効だ」と強調した。

 県医師会の池田秀夫会長は「宣言は当然で、ようやく出た」と評価する。東京などでは医療崩壊の危機が迫り、佐賀県は今回の対象外になっているものの「感染患者を受け入れる施設の確保など、県の取り組みも促進されるだろう」と述べ、感染拡大に備えた医療態勢づくりに期待を込めた。

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