出来上がった弁当を手渡す井手潔店長(左)。新たに「持ち帰りメニュー」を設けた=武雄市の居食亭「豊」

 新型コロナウイルスの感染拡大が続く中、来店客数や売り上げの落ち込みを少しでも補いたいと、料理の持ち帰りサービスに力を注ぐ飲食店や宿泊施設が佐賀県内でも増えている。先の見えない苦境に知恵を絞る店主を“口コミ”でサポートする常連客らの動きも目立っている。

 「お客さんがSNS(会員制交流サイト)で情報を拡散してくれていて、予想以上の需要がある。本当にありがたい」-。3日から新たに「持ち帰りメニュー」を設けた武雄市武雄町の居食亭「豊」の井手潔店長は感謝の思いを口にする。

 外出や大人数の会合の自粛が広がる中、3月は歓送迎会など10人以上の宴席がほとんどキャンセルになり、売り上げが前年から4割ほど落ちた。「創業50年で初めての事態。飲食店仲間も同じで、みんないっぱいいっぱい」

 厳しい現状を打開しようと、1千円以下の8種の弁当や焼き鳥、一品料理、サラダなどを並べたメニュー表を作り、SNSなどで利用を呼び掛けている。

 佐賀市のホテルニューオータニ佐賀では、和洋中の各レストランが手掛ける弁当や鉢盛りがじわりと人気を集めている。1日に200個を売り上げた日もあり、持ち帰りは前年同月比で4倍増という。

 コロナ禍で3月の宿泊客は前年同月の半分に減少した。レストランの客も3割程度減り、定休日や営業時間の短縮といった対応にも踏み切っている。レストラン課の福地久美子主任は「売り上げは7割を保持し、デリバリーで頑張っている」と説明し、「選択肢の一つとして提案し、食事で明るい気持ちになるお手伝いができれば」と語る。

 桜の名所、佐賀市の神野公園近くの「まんえい堂神野店」は4、5日、天気にも恵まれ、開店から多くの客が訪れた。「今年は自宅に持ち帰る人が多い印象」と牟田口晶子店長。おこわが入った京風弁当や花見弁当などがよく売れ、前年比2割程度の落ち込みでとどまっているという。

 花見に訪れた近くの板橋京子さん(68)は「昨年はシートを広げて弁当を食べたけれど、今年は歩いて花を楽しみたい。お弁当は自宅で」と話した。

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