まさに試練の時である。新型コロナウイルスが猛威を振るい、感染拡大が続く中、1日から新年度がスタートした。例年ならば厳粛な中にも華やかに辞令交付式や入社式を行い、新たな一歩を刻む日だが、感染拡大防止のために式を取りやめたり、規模を縮小する企業なども目立った。特効薬がない中、忍び寄ってくる見えない相手にどう立ち向かうべきか。いまは早期の感染終息を願い、心を重ねて行動するしかない。

 「感染経路が分からない人たちが出てくると、東京のように厳しい対応をしなければいけなくなることも考えられる。そうならないために、県民の皆さんには我慢できることは我慢しようと話している」-。佐賀市の県庁で開かれた辞令交付式。山口祥義知事は、前日に県内でコロナウイルス感染者が確認されたことを踏まえ、引き続き感染拡大防止に全力を注ぐことを強調した。

 コロナウイルスの国内初感染の確認から2カ月半。佐賀など地方での患者は比較的少ないものの、各自治体から日々発表される感染者数の推移を見ると、首都圏を中心にまさにオーバーシュート(爆発的患者急増)の瀬戸際であることを痛感させられる。

 新年度が迫った3月30日、山口知事は、感染が拡大している九州内の福岡、熊本、大分3県や首都圏、関西地方への不要不急の外出を避けるよう呼び掛けた。この時も、県民が一丸となり、何とかここで感染を封じ込めたいという思いが強くにじんだ。

 4月が進めば月末からはゴールデンウイーク(GW)に突入するが、感染終息の時期は全く見通せず、県内でも厳しい決断が相次いでいる。有田商工会議所はGW恒例の有田陶器市について「期間中100万人以上が集まるイベントを開催することは困難」として延期を発表。鹿島市では、5月31日に36回目の開催が予定されていた鹿島ガタリンピックの中止が決まった。

 学校関連では、佐賀大学が4月7日としていた前期の授業開始日を4月20日に繰り下げることを発表した。感染状況によってはさらに変更する可能性も示している。

 こうした関係者に共通するのは「いまリスクを冒すべきでない」との思いだ。わずかな緩みが一気の感染拡大を招く。このところ、首都圏で感染経路が分からない患者が増加しているが、3月20~22日の3連休に都心などへの外出が多かったことを要因とみる専門家もいる。いままさに重要局面であるとの共通認識である。

 終息時期が見通せない以上、いましばらくは暮らしのさまざまな場面で、県民一人一人が厳しい判断を求められることになるだろう。周りの人と心を重ね、自粛要請などにも真摯(しんし)に応えていかなければならない。

 有田商工会議所は4月29~5月5日、有田陶器市のホームページで焼き物ファン向けに「ウェブ陶器市」の実施を予定しているが、いまやれることに取り組む姿勢を評価したい。イベントの中止などが相次ぐ中、佐賀新聞では「防ごうコロナウイルス」のコーナーを含め、関連情報の掘り起こしと発信に努めている。日常通りとはいかなくとも、さまざまな工夫で暮らしの潤いを保ち、この難局を乗り越えたい。(杉原孝幸)

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