新型コロナウイルスの感染者数の急増が止まらない。ここ数日は連日、全国で100人を超え、増加に拍車がかかっている。政府は新型コロナ特措法に基づく「緊急事態宣言」を発令する「瀬戸際の状態」が続いているとしている。

 この感染症の怖さは、感染しても症状がない人が行動し、気付かないうちに自らが感染源となる恐れがあることだ。東京などでは感染経路が分からない感染者が増えている。

 政府対策本部の基本的対処方針は「感染源が分からない患者数が増加し、全国に拡大すれば、爆発的な感染拡大につながりかねない」と警告する。今のところ大都市部が感染の中心だが、人の移動に伴って全国に広がる懸念は拭えない。各国などで起きている爆発的な感染拡大の事態に陥らないよう、一人一人が危機感を持って行動したい。

 特に、行動範囲の広い若い世代の人たちに危機感を共有してもらいたい。政府も若い人たちに向けた情報提供を徹底する必要がある。

 政府の対処方針が求めているのは、密閉空間での集まりの自粛など誰でも心掛ければ対応できることだ。食料や医薬品などの生活必需品の供給も維持されており、慌てる必要はない。冷静に対処したい。

 新型コロナ感染症では、入院していた人気タレントの志村けんさんが亡くなった。この病気の怖さを改めて確認しよう。

 当初は症状が深刻なのは高齢者が多いとされてきた。だが、最近は若い世代の感染が多い。東京都では29日に新たに確認された68人のうち30代が24人と最も多く、20代、40代が続いている。大阪府では17人のうち約半数が40代以下だった。京都産業大では複数の学生の感染が確認され、クラスター(感染者の集団)が発生した可能性があるとみられている。

 東京や大阪では外出自粛の要請で、週末の街は閑散となった。ただ、人の移動は続いている。特に4月1日の新年度を前に、就職や転勤、入学などで移動せざるを得ない人も多いだろう。大学の卒業旅行で海外から帰国する人もいる。大都市部を避けてしばらく地方へ、という人もいるだろう。誰もが、自分が感染しているかもしれず、感染源になる恐れがあると考えて行動したい。

 まだワクチンも治療薬もない。一人一人が「うつらない。うつさない」と心掛けるしかない。

 政府の対処方針は、手洗いやせきエチケットの徹底、体調不良の場合は仕事や学校は休む、(1)換気の悪い密閉空間(2)人が多く集まる密集場所(3)近距離での会話など密接場面―が重なるリスクの高い場は避けることなどを求めている。いずれも自覚すれば可能な対処策だろう。

 在宅で仕事ができない職種の人も多い。できるだけ出勤の機会を減らすよう企業・事業者も工夫してほしい。

 対処方針は爆発的な患者の急増に備えて病院のベッドを確保することや、クラスター対策の強化などを盛り込んでいる。患者が急増すれば医療態勢が崩壊しかねない。大都市部だけでなく、病院が充実していない地方で対処できるのか。

 緊急事態宣言が発令されれば社会・経済機能に甚大な影響が出るだろう。その一歩手前で食い止めるため、今できることに取り組みたい。(共同通信・川上高志)

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