定年退職前の課長さんが不眠と軽度の抑うつのためにクリニックを受診されました。病歴を聞く中で、これまでのさまざまな悩みや経験を語られ、私に一つ貴重なことを教えてくれました。それは、女子職員が対応に困っている際、必ずこう答えてあげると安心しますよ。「それと同じようなことは、以前にもありましたよ。こうすれば、大丈夫」と。

 今、新型コロナウイルス感染症の社会不安が世界的に拡大しています。残念ながら、今までに経験がない感染症で、適切なアドバイスができず、政府と国民も困っています。社会不安が拡大すると、トイレットペーパーもティッシュペーパーも売り切れてしまいました。どこのスーパーに行ってもすでに「在庫待ち」と掲載されています。

 留学生に尋ねてみると、こういう社会情勢になると、中国ではまず食品が売り切れる。世界的に見ると、イタリア、ドイツも日本と同様で、トイレットペーパーがまずなくなるのだろうと議論しましたが、その理由は清潔な国民性によるものでしょうか?

 社会不安が拡大すると、社会の秩序も乱れ、全てが悪循環に陥り、全てのイベントが中止に至り、経済も破綻するでしょう。さらに、この状態が持続すると、メンタルクリニックの長年の経験から、不安が抑うつに発展する可能性が高まっていきます。一度、うつ状態・うつ病に陥ると、その回復には1~2年かかります。誰か専門家が「新型コロナウイルス肺炎はインフルエンザとほぼ同じだから、しっかり数日間休養すれば、大丈夫!」と言ってほしい。もう少しの辛抱だと。(九州大学キャンパスライフ・健康支援センター教授・副センター長・統括産業医 佐藤 武)

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