さがびよりは食味を重視し、あえて収量を抑える栽培法にしたと話す市丸喜久センター長=佐賀市の佐城農業改良普及センター

 2019年産米の食味ランキングで、佐賀県が独自に開発した「さがびより」が10年連続、最高の「特A」を獲得した。さがびよりの栽培技術の確立に取り組み、今春、勇退する佐城農業改良普及センター長の市丸喜久氏(60)に、さがびよりの強みや今後のコメ作りの方向性を聞いた。

●10年連続の特Aで、さがびよりの実力が証明された。強さの秘密は。

 さがびよりの栽培は「資財低投入型」。肥料を減らし、本来は反収(10アール当たり収量)で600キロとれる力があるが、あえて550キロに抑え、品質・食味を第一に考えた。商品として、いかに受け入れられるかとの出口戦略をしっかり描き、結果につながった。

●温暖化でピンチに陥ったヒノヒカリの後継である。苦労もあったのでは。

 2008年、県農業試験研究センターに来たら、新しい奨励品種を1年で普及させよとの話だった。病害に弱い面があり、まだ吟味中だった有望品種を急きょ投入したが、気象変動があるので、1年でというのはどだい無理な話。デビューして1年目の天候は高温、2年目は真逆の曇天となり、同じ肥培管理で悪い結果が出ないか、怖かった。結局、成果が出て間違っていなかったと証明された。

●産地間競争が増す中、さがびよりの今後は。

 コメも10年たつと時代から置いていかれる、このため品種の育成が大切だ。ただ、食味を重視し、なおかつ病害にも強いという品種は、現実的にはなかなか難しい。品種改良を何十年も待つわけにもいかない。このため、できた品種をいかに栽培するかが重要となる。さがびよりは最近、収量が落ち目とも聞くが、栽培当初の意気込みや徹底した管理が薄れていないか気になるところだ。

●農家へメッセージを。

 今後は気象変動もあるため、マニュアル通りでは通用しない。稲を観察する時間を多く取り、微調整し、ツボを確実に押さえることが重要だ。一つでも手を抜くと、がたんと悪い結果になる。農産物も商品と意識し、食味のいいコメ作りにまい進してほしい。

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