4年前、鳥栖市は次代へ向けて羽ばたこうとしていた。長年かけて準備してきた大型事業がまさに動き出そうとしていたのに、4年たった今は、それぞれに壁にぶつかり停滞している。なぜ、こうした事態に陥ってしまったのか、点検し新たな歩みへとつなげたい。

 私が鳥栖市担当になった4年前、鳥栖市がどんな状況を迎えていたかを見ていきたい。

 大型事業とは、鳥栖駅周辺整備、都市計画道路、産業団地「新産業集積エリア」、国家戦略特区、次期ごみ処理施設、温水プールを備えた健康スポーツセンターなどのことである。

 鳥栖駅周辺整備は橋上駅への建て替えや駅前広場、駅の東西に分かれた市街地を結ぶ都市計画道路などをセットで整備して一体的な開発を図るもので、2016年3月、市は基本構想をまとめた。新駅は23年に佐賀県で行われる国民スポーツ大会(国体)に間に合わせて、全国の選手らを迎えたいと構想していた。

 新産業エリアは広さ約28ヘクタール。市内経済界の集まりで市幹部は「早ければ、16年の夏ごろから工事が始まる。朝日山(鳥栖市)1個分くらいの土をダンプで運び込んで地盤改良工事をする。最先端分野の最大4社までに分譲したい」と夢あふれる説明をしていた。

 国家戦略特区の提案は、高速道路の鳥栖ジャンクション周辺の開発を図ろうと、国に農地開発の規制緩和を求める内容だった。

 しかし、駅周辺整備は18年12月、事業費が見込みよりも大きく膨らんだとして、基本設計概要の発表直後に白紙撤回した。

 2市3町のごみを処理する次期施設は建設予定地から有害物質が見つかり、計画を大幅に縮小した。さらに浸水想定が最大5メートル未満に見直され、災害リスクへの懸念から市民が反発し、神埼市と神埼郡吉野ヶ里町の両議会が「建設地見直し」の決議をするなど混乱が続いている。有害物質の埋設量調査は20年度まで続き、その処理費が市財政の重荷になるのでは、と心配されている。

 新産業エリアは用地買収での農地法違反が明らかになりストップしたまま。国家戦略特区は国の加計学園問題のごたごたもあって、昨年、認定を断念した。市庁舎建て替えの財源捻出のために、建設を先送りした健康スポーツセンターは「必ず造る」(市幹部)としていたが、こうした状況下で実現性は遠ざかりつつあるようだ。

 現在、比較的に順調に進んでいるのは新庁舎、九州自動車道への味坂スマートインターチェンジ(仮称、ETC専用)の新設くらいである。

 なぜ、駅周辺の事業費見込みは大きく外れたのか。次期ごみ施設の候補地選定は、協定で約束している設置期限から逆算してもっと早期に着手していれば、ごみ埋設の情報があった場所をわざわざ選ぶことはなかったのではないか。個々の職場、職員というよりも、組織としてのチェック力に課題、反省点はなかったか。

 計画通りであれば、今ごろは駅周辺整備がいよいよ動き出していたころだ。新産業エリアは20年度から分譲が開始される予定だった。市は投資した経費を回収し、それを再投資に向けて成長サイクルを回せるはずだった。街の風景は今とはずいぶん違っていたはずである。(高井誠)

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