最後の公演でアルトサックスを吹く德本一憲警部補=2月、神埼市中央公民館

 佐賀県警音楽隊の一員で、40年にわたってサックスを演奏してきた佐賀南署交通課規制係の德本一憲警部補(60)が退職する。一度途絶えた音楽隊の復活時を知る唯一隊員として「県民と警察を結ぶ音の懸け橋」を担ってきた。穏やかな人柄と音色で隊を支え続け、今後も後進たちにエールを送る。

 1955年にできた音楽隊は、徐々に隊員が減り67年に一度解散したが、79年8月に再結成した。前年に拝命したばかりの当時19歳だった德本警部補は、中学時代の楽器経験を買われて復活メンバーに加わった。

 交番勤務など通常の仕事をしつつ、音楽隊の練習で休みがなくなることもあったが「先輩たちと和気あいあいで、いろいろな楽器も吹いて興味津々だった。昔の演歌などしっとりとした曲が好きで、ソロは緊張するけれど気持ちいい」。古賀政男の「影を慕いて」のメロディーを好み、今も新譜を覚える高揚感や音合わせの喜びは変わらないという。

 例年は3月末、退職者を見送るセレモニーが県警本部で開かれ、音楽隊が演奏で花を添えてきた。しかし今年は新型コロナウイルスの影響で中止になった。德本警部補は「お世話になった先輩たちを送り出してきたけど、逆の立場になれずちょっと残念。いつもと違う方向から音楽隊を見てみたかったな」と苦笑する。

 警察の業務が以前より複雑になり、音楽隊を兼務する後輩の負担も小さくないと感じており「練習に行く隊員たちを、職場が快く送り出してくれるとうれしい」。音楽隊の歴史と共に歩んだ40年。隊を離れても、変わらずサックスを吹き続けるつもりでいる。

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