化粧品産業の集積が進む唐津市浜玉町浜崎地区

 4月。進学、就職と、人が動く季節だ。少子化に伴う人口減少は地方に共通する課題だが、唐津市の場合、高校や大学卒業期を中心とした若年層の転出による社会減が大きい。中でも隣接する福岡都市圏への転出が顕著である。

 唐津市の現在の人口は12万1千人。合併後の15年で1万4300人減少した。比較できる人口推計によると、唐津市は2045年には9万人を割る。一方、鳥栖市はほぼ現在と同じ7万5千人前後を維持する。佐賀県第2の都市・唐津という地位はキープしても、地域力の低下は否めない。

 若者の流出に歯止めをかけ、外から人を呼び寄せるため大学誘致計画も持ち上がった。しかし少子化に加え、既存大学が学生の確保に苦慮する現状を見ると、難しいと言わざるを得ない。企業誘致にしても、全国の市町村が手を挙げている状態で、よほどの優位性がないと厳しい。

 内外の状況から考えると、外部からの活力に頼るのではなく、まず自らの創意で地域に根ざした内発型の産業を興すことが肝要だ。その意味で、化粧品産業の集積(クラスター)を目指す唐津コスメティック構想に注目してきた。

 中核となる官民組織「ジャパン・コスメティックセンター」(JCC)が設立されて6年が経過した。参加企業・団体は190社、地元特産のかんきつ類やツバキなどを原料にした化粧品関連商品は約100品目に上る。唐津市や佐賀市で開く販促イベントは唐津への好感度にもつながっている。

 ただベンチャー型の小規模企業が多いこともあり、原材料を提供する農漁業者を含め市民からは全体像が見えにくい。JCCはこれまで創業、起業支援に重点を置いてきたが、中国をはじめとするアジア市場での具体的なサクセス事例を提示する時期にきている。

 産業集積とは、単に特定の地域内に多数の企業が立地することではない。1次産業を含め、各企業が相互取引や技術交流、連携など企業間関係を持つネットワーク構造を意味する。

 唐津商工会議所がビッグデータをもとに開いたセミナーでは地域経済の特性として、農林水産業や食品業の厚みを特長とする一方、域内資源の未活用が指摘された。

 唐津地域は自然や歴史、観光資源に恵まれ、対外的にもブランドイメージを発信してきた。ただ、それは受け継いできた「レガシー」とも言え、現状に自足、安住していてはこの先、地域は細っていく。

 コスメティック構想を先導として、観光をはじめ諸産業で域内の資源や立地を生かし、地域経済を循環させていく。佐賀県が掲げる「自発の地域づくり」の実践でもあり、県内第2の都市の浮沈がかかっている。(吉木正彦)

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