レーザー手術で 下肢静脈瘤治療
日帰り可能で負担軽く 保険も適用

 ひざから足の付け根にかけて、こぶや浮き出た血管、むくみなどの症状があれば、「下肢静脈瘤(りゅう)」という病気かもしれません。命に別状のある病気ではありませんが、自然治癒は難しく、QOL(生活の質)の低下につながりかねないばかりか、重症化すれば潰瘍の原因にもなるので、早めのケアが必要です。嶋田病院(福岡県小郡市)の日本脈管学会認定脈管専門医の石原健次副院長に聞きました。

悪化する前に専門医に受診を

患部:ひざ下の血管が浮き出た症状が特徴の下肢静脈瘤

 下肢静脈瘤とは、静脈の中の逆流を防ぐ弁が壊れて、足の下の方に血がたまってしまう病気です。症状は、個人差はありますが、ひざからふくらはぎにかけて血管(静脈)が太く浮き出たり、こぶのように膨れ上がることが多く、むくみやだるさを伴う場合もあります。夜中や明け方に足がつったり、こむら返りを繰り返して気づく人もいます。命に別状のある病気ではありませんが、病気が進めば皮膚に潰瘍ができて出血が止まらなかったり、炎症を起こすことがあるので早めの治療が必要です。
 下肢静脈瘤は、日本人の10人に1人がかかるとされ、特に、出産経験のある女性の約半数が発症すると言われています。当院では患者さんの約7割が女性です。サービス業など立ち仕事に従事する人に多く見られます。親や姉妹に症状のある人もかかりやすく、妊娠・出産を機に発症する人も多いのが特徴です。加齢とともに悪化することも珍しくないので、不調を感じたら専門医に受診することをお勧めします。

体に負担のないレーザー治療

 検査はエコー(超音波)で行い、5~10分程度で終了します。痛みはありません。特効薬はないので、治療は浮き出た血管(静脈)を取り除くか、ふさぐ手術を行います。「静脈をふさいで大丈夫か」と心配される方もいらっしゃいますが、心配ありません。足には他にも何本もの静脈が通っており、手術でうっ血した静脈を取り除いても、血液は正常に機能している静脈を通って心臓に送り込まれますので、安心して治療を受けていただきたいと思います。
 手術は、主にレーザーで行います。足に1~2ミリ程度の小さな穴を空け、細いレーザーファイバーを入れて静脈瘤の血管にレーザーを照射し、焼いてつぶしていきます。手術は局所麻酔で、所要時間は30~40分程度です。こぶがある場合、取り除く手術を同時に行っても1時間~1時間半程度で終わります。痛みや再発リスクはほとんどなく、術後、しばらくして歩けるようになるので、日帰りも可能です。当院は、常勤の麻酔科医が在籍しており、病変が異なる患者さんそれぞれに、適切な麻酔量を設定して手術を行うため、安心して手術を進めることができます。
 血管内レーザー治療は、2011年から健康保険適用となり、費用は3割負担の患者さんで片足約5万5千円です。

プロジェクトチームと一緒に考える

院内:院内に設けられた「下肢静脈瘤センター」

 レーザー手術以外にも、弾性ストッキングの着用で進行を抑える「圧迫療法」や、静脈瘤に硬化剤を注入して固める「硬化療法」、大腿部の静脈を抜き取る「ストリッピング手術」などの治療方法があります。当院では、医師や看護師、臨床検査技師、事務系スタッフなど計9人が下肢静脈瘤プロジェクトチームを作って患者さんが安心して治療できる体制を整えています。心配や疑問はチームスタッフに遠慮なく相談してください。納得のいく治療法を一緒に考えていきます。

 

医療法人社団シマダ 嶋田病院

 

石原 健次

血管外科担当医師、副院長

いしはら・けんじ 医学博士、日本外科学会認定医、日本脈管学会認定脈管専門医、下肢静脈瘤血管内焼灼(しゃく)術指導医、下肢静脈瘤血管内焼灼術実施・管理委員会、日本静脈学会評議員。2013(平成25)年~2020(令和2)年2月末までの下肢静脈瘤レーザー手術は累計2285例の実績がある。

 

 

 

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