「虹の松原七不思議の会」の会員と散策道を手入れする田中明さん(左)=3月中旬

 虹の松原の魅力は、景色の素晴らしさや400年もの間にわたって人との暮らしを織りなしてきた歴史、文化だけではなく、今もなお、それぞれの思いや立場で松原に誇りを持ち、関わっている人の多さでしょう。

 中でも多様な松原の関係者から信頼され、慕われている方がいます。農学博士で佐賀大名誉教授の田中明先生(75)です。

 1998年、佐賀大の研究センターが虹の松原の近くに移り、田中先生は松原内を散策するようになりました。松原の生態は専門外ですが、松原に伝わる七不思議に関心を持ち、人と松原の「守り、守られる」関係を考えようと2000年、「虹の松原七不思議の会」を立ち上げました。

 最近は月1回、10人くらいの会員と松原内の散策道を整備されています。その活動の中で聞くのが「私たちが整備したここが、松原の中で一番美しいですよ」という言葉です。

 強い自負というか、いつもは温和で物腰柔らかな田中先生から初めて聞いた時はちょっとびっくりしました。一番美しいとはどういうことかと尋ねると、「あの散策道は防風柵がなく、松原の中から青い海と空が見える風景という点では一番美しいという意味で、虹の松原にはそれぞれに一番美しい風景があります」と田中先生らしい答えが返ってきました。

 そんな半面、卯う年の年賀状用に松原の野ウサギを撮影するため「まちぼうけ作戦」を敢行したり、おちゃめな一面もあります。

 もう一つ胸に刻んでいる言葉があります。「急がなくていいの。虹の松原の歴史は永いのだから」という言葉です。過去、現在、そして未来をつなぐこの言葉は私たちの活動へのエールです。

 田中先生からしっかりバトンを引き継ぎ、次の世代にしっかり渡せるよう、これからも虹の松原と向き合っていきます。=おわり

 (NPO法人「唐津環境防災推進機構KANNE(かんね)」事務局長・藤田和歌子)

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