岡田三郎助「富士山(三保にて)」(1920年、137・3センチ×197・5センチ、県立美術館蔵)

岡田三郎助「新緑」(1929年、37・9センチ×45・4センチ、県立美術館蔵)

岡田三郎助「コローの池」(25センチ×43・5センチ、個人蔵・寄託)

青木繁「朝日」(1910年、72・9センチ×115・2センチ、県立美術館蔵)

ラファエル・コラン「日だまり(くつろぎ)」(1896年、60センチ×81・5センチ、県立美術館蔵)

岡田三郎助「丹霞郷」(1933年、53センチ×65・1センチ、個人蔵・寄託)

 陽光を浴び、吹き抜ける風を感じながら、叙情豊かな感性に触れる。日本近代洋画界をリードした佐賀市出身の岡田三郎助(1869~1939年)の画業を顕彰する県立美術館内の「OKADA-ROOM」常設展第16弾。岡田や青木繁らOKADA-ROOM初公開作品7点を含む風景画18点を展示。旅先や留学先での思い出を彩り豊かに刻む。

 現存する岡田の風景画では最大の「富士山(三保にて)」(1920年)の壮大さは圧巻だ。明け方の光が差す霊峰。空や山肌のグラデーションの優美さに岡田の色彩に対する感性の鋭さが見て取れる。

 「丹霞郷たんかきょう」(1933年)は、岡田が写生旅行でたびたび訪れた長野県中郷村平出(現在飯綱町平出)の果樹園が舞台。のどかな春の日、香り立つような桃の花を、柔らかな色合いでとらえた。収集していたアンティークのきれをあしらった額が趣深さを引き立てる。

 初公開のうち、岩絵の具で描かれた岡田の「コローの池」(1931年)は、バルビゾン派の風景画家カミーユ・コローが愛したパリ近郊の湖畔が舞台。土手の部分に使った金泥と湖面の銀泥の鈍い輝きは、コローが得意な銀灰色の表現を思わせる。同じく岩絵の具を使った「新緑」(1929年)も目を引く。

 岡田が外光を取り入れた色彩表現を学んだ、師ラファエル・コラン(1850~1916年)の「日だまり(くつろぎ)」(1896年)や、唐津の海に着想を得た青木繁(1882~1911年)の絶筆とされる「朝日」(1910年)など名品ぞろいだ。

 同館の秋山沙也子学芸員(31)は「岩絵の具を使うなど岡田の実験精神が垣間見られる作品もある。コランの色彩表現の豊かさを感じたり、朝日を描き上げた翌年に亡くなる青木がどんな思いで創作したかを想像したり、多様な視点で見てもらいたい」と話す。

 ▼佐賀市城内の県立美術館=電話0952(24)3947=で5月31日まで。5月4~6日は開館。月曜と5月7日は休館。

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