「お薬をなかなか飲んでくれないので…」というお母さんの悩みをよく聞きます。いやがる理由は大きく分けて2つあります。2歳未満の子では「にがい」「くちざわりがざらざらしてわるい」「においがいや」などの理由が多いようです。2歳を越えると自我が強くなり理由なく「いやだ」と拒否をすることがあります。現実には、この2つがミックスされているといえるでしょう。こどもの自尊心を傷つけないように上手に対応しましょう。

 処方時に「この子は薬を飲みませんから」と言うお母さんもいますが、子どもがいつまでも同じように行動するという思い込みを捨てる必要があります。まずは、薬を飲む意味が理解できるように平易な言葉で必要性を話してあげて下さい。小さい子ならお母さんがまずおいしそうに飲んでみせてください。飲めたらしっかりほめてあげてください。服薬をゲームにかえて、“のんだよシール”を貼っていくなどの工夫も良いでしょう。水薬はそのままでも良いし、赤ちゃんならスポイト、スプーン、哺乳瓶の乳首どれかを使って飲ませます。散薬はそのまま口に入れてすぐに好きな飲み物で飲ませる、少量の白湯(さゆ)で練ってねりわさび状にして頬の内側に塗りつけて飲ませる、飲み物に溶かす、食べ物に混ぜるなどの工夫をします。食べ物や飲み物に混ぜる場合は、薬なし→薬を混ぜたもの→薬なしの順で飲ませます。混ぜものはコンデンスミルク、練りチョコ、メープルシロップ、練った完熟バナナなど味の濃いものが良いようです。オレンジジュース、ヨーグルト、スポーツドリンク、乳酸菌飲料などとは相性が悪い薬もあるので医師や薬剤師に尋ねてください。薬局で売っている服薬補助ゼリーを使う手もあります。服薬直前に混ぜてください。ただし、ミルクやご飯などの生活に大事な食品は、嫌いになる可能性を考えると、混ぜものとしては使用しないほうが良いと思います。

 薬を上手に飲む練習は、服薬が必須の病気にかかった時のための大事な訓練のひとつです。上手に服薬できるようにするのはお母さんの腕のみせどころです。

 

浜崎 雄平(はまさき ゆうへい)
佐賀整肢学園 からつ医療・福祉センター顧問。佐賀大学名誉教授。
1948年、鹿児島県日置市生まれ。九州大医学部を卒業し、テキサス大やオクラホマ大研究員などを歴任。
84年から佐賀医大(現佐賀大学医学部)小児科講師として勤務し、00年に同大小児科学教授就任、09年から医学部長を兼任する。
14年から現職。専門分野は小児の呼吸器/循環器疾患、アレルギー疾患。

 

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