トルコキキョウの手入れをする花農家の小松大作さん。生産が本格化する5月の需要に新型コロナの影響が出ないか危惧している=唐津市厳木町

 新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、生花の需要が減少している。卒業式の縮小開催や結婚式の延期、コンサートの中止などイベントの自粛が相次ぎ、価格の下落にも苦慮する。農水省は家庭や職場での花飾りなどを促進する「花いっぱいプロジェクト」を展開、佐賀県内の生産者からはSNS(会員制交流サイト)を通じ、買い支えを訴える声も上がる。

 「2月末に小中高の臨時休校が決定し、3月の第1週、小売店ではキャンセルが相次いだ」。佐賀花市場(佐賀市鍋島町)の江島一成課長(45)は手元にある数字に目を落とした。卒業式の装飾、壇上の花…、大型の注文が止まった。

 通常なら12月に次ぐ繁忙期。取扱量は一日当たり10万本ほどだが、3月は2割以上少ない8万7千本にとどまる。チューリップなど春を代表する花の単価も大幅に下落した。

 難しいのはイベントが中止か延期か分からない中での仕入れ。「キャンセルになるかも…」との予約もある。祝う花だけではない。「多くの人が集まる場所をつくるのは」と葬儀を家族葬に切り替える動きもあり、需要に響いている。

 生産者の状況は深刻だ。トルコキキョウ栽培が18年目の小松大作さん(38)=唐津市厳木町=は「1本単価が前月比2割も低下している」と嘆く。15人体制での花栽培。雇用を支えるにも資金繰りが最大の懸案で、事態が長引くことも考え、融資の条件や金利も確認した。SNSで「花が活躍する場面が減っている」と苦境を発信し、花を手に取る機会を増やしてもらおうと工夫する。

 佐賀市の花店は、市内で感染者が確認されたため、今後の客足を気にしつつ「注文は前年より少ない傾向だが、謝恩会などイベントの必要経費が浮いた分、花束にかけられる予算が増えている。ホワイトデーには昨年の倍近い来客もあった」という。

 「ウイルス感染で暗いニュースが続き、心も疲れている。家で過ごす時間が増えているため、気持ちを和らげる花を贈ったり、自宅に飾ったりしてほしい」。関係者は願っている。

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