中止か延期か、はたまた…。1970(昭和45)年3月15日に一般公開が始まった大阪万博。あれから50年。もし新型コロナウイルスに揺れる今年であったら、開催についてどんな決断をしていたろうかと頭をよぎった。当時は高度成長期、21世紀が近づいていた時代である◆入場者6400万人。小学生だった身には見るものすべて近未来そのものだった。一方で土偶のような「太陽の塔」はどこか不釣り合いに思えた。内部に入ると樹木にぶら下がった三葉虫や人類の祖先。主題は生命の尊さである◆人気のパビリオンは2時間、3時間の行列。アポロ宇宙船が持ち帰った「月の石」のアメリカ館が1番人気だったが、企業パビリオンで話題だったのは三菱未来館。動く歩道に乗って見る巨大映像と展示内容は50年後、まさに2020年の今である◆壁掛けテレビやホーム電子頭脳が整備された住宅で料理は自動調理器をセットするだけ。超大型台風を制圧するための宇宙ステーション、働く時間は4時間、がんも克服―そんな姿だった◆「人類の進歩と調和」。テーマの意味を今も思う。太陽の塔は夜になると目が光り、その光の帯が闇夜に真っすぐ伸びていた。視線の先にあったのは何だったろう。2025年、再び大阪に来る万博。半世紀前の世界がどうつながっていくのか見てみたい。(丸)

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