感染症の歴史上、最も有名な「パンデミック(世界的大流行)」を起こしたスペイン風邪。そのウイルスが日本に上陸したのは1918(大正7)年秋だった。軍隊や学校を中心に感染が拡大、翌年にかけて流行し、警戒を呼び掛ける様子が当時の佐賀新聞に見える◆「風邪に備へよ」。そんな見出しで1919年10月30日付に警察通知が載った。「劇場、寄席、活動写真館等の入場者又(また)は電車、乗合自動車、乗合馬車等の乗客に対しては呼吸保護器を使用せしむる様(よう)」。呼吸保護器とはマスクのことだ◆前年の5月10日付は初日を迎えた東京大相撲を「休場力士多数」と報じていた。休場は東の横綱西の海、大関九州山ら7人。多くはインフルエンザで、相撲協会は「初日取組編成に大いに頭を痛めた」とある◆新型コロナウイルスの感染拡大で世界保健機関(WHO)がパンデミックを宣言した。史上初めて無観客開催となった大相撲春場所。プロ野球やサッカーJリーグも自粛である。中でも選抜高校野球大会の中止は、球児の胸中を思うとやりきれない◆苦渋の判断であったろう。当然、賛否はある。コロナへの恐れか、開催に対する批判への恐れか。そんな指摘も出ていた。世の中に漂う閉へい塞そく感。それにしても今にして思う。「春はセンバツから」という言葉のなんと平穏だったことか。(丸)

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