開門を求める請求が棄却され「不当判決」の垂れ幕を掲げる長崎県内の漁業者ら=長崎市内

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)で漁業被害を受けたとして、諫早湾内の長崎県の漁業者らが国に潮受け堤防排水門の即時開門を求めた訴訟の判決で、長崎地裁は10日、「堤防閉め切りによって漁場環境が悪化したとは認められない」として請求を棄却した。漁業者側は控訴する方針。

 武田瑞佳裁判長は判決理由で、堤防閉め切りで諫早湾内の潮流の速さが低下し、調整池からの排水による有機物の沈殿もあるなどと指摘。このため湾内で貧酸素化や浮泥の堆積が進み、一部で硫化水素も発生しているとし、堤防閉め切りと環境変化の因果関係を一定程度認めた。

 一方、アサリに関しては「長期的な資源の減少は有明海だけではなく、他の海域にも共通する」、タイラギは「減少や斃死(へいし)を引き起こす要因は解明されておらず、他の海域においても漁獲量が減少」とし、漁船漁業やカキ養殖、ノリ養殖も含めて「堤防閉め切りによって生じた環境変化が、個々の漁業種ごとの漁場環境を悪化させたとは認められない」と結論づけた。

 長崎県の漁業者が2010年と11年に提訴した第2陣、3陣の開門訴訟で、原告は諫早市小長井町や雲仙市瑞穂、国見両町の計33人。関連訴訟の和解協議の影響で一時中断するなどし、長期化していた。第1陣の訴訟は最高裁が昨年6月に漁業者側の上告を棄却し、確定している。

 国が漁業者に開門を強制しないよう求めた請求異議訴訟の差し戻し審は、福岡高裁で今年から審理が始まっている。漁業者側によると、今回控訴した場合、高裁の同じ裁判官が審理する可能性がある。

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