旅行のキャンセルや休校などの影響で、運行できなくなった貸し切りバス=伊万里市の肥前観光

 新型コロナウイルスの感染拡大による影響が、佐賀県内のさまざまな業界に影を落としている。旅客関係では小中高校の臨時休校のあおりで、スクールバスが止まったほか、結婚式や歓送迎会のキャンセルが相次ぎ、送迎の需要も激減している。終息が見通せず、食品製造会社からは「東日本大震災の時よりも影響が大きい」との悲鳴も上がる。一方、体温計は肌に付けずに測定する「非接触式」が品切れしたり、書店では子ども用の学習ドリルが例年の数倍売れたりしている。

■旅客

 伊万里市の肥前観光は、中高生用のスクールバスを保有しており「休校の影響は大きい」。部活動の全国大会や遠征のキャンセルが相次ぎ、貸し切りバスも動かなくなった。前田文生専務は「九州の同業者の稼働率は平均約60%だが、3月は6%くらいに落ち込む見込み」と嘆く。佐賀労働局に相談し、雇用調整助成金を活用して従業員の賃金に充てている。「人が一番大事。何とか持ちこたえたい」と歯を食いしばる。

 市内の別の旅客運送業者は、小中学校の休校に伴い5台のスクールバスが動かなくなった。佐賀空港発着の台湾・台北便の観光客も受けていたが、飛行機の運休から、貸し切りバスの運行もゼロになった。国内でも結婚式やイベントのキャンセルで、送迎やシャトルバスの運行がなくなり「3月の売り上げは前年比7割減を見込んでいる」。

■食品

 神埼市の大串製菓店(大串久昭代表)では、スポーツ大会の中止が相次ぎ、卒業式も縮小開催となった関係で参加賞や記念品の需要が減少、売り上げが「例年の3~4割減少する」という。3、4月は12月に次ぐ書き入れ時。大串代表は「見込みが大きく変わり、資金繰りが不安」と話し、個人事業主に対する支援策の拡充を求める。

 鳥栖市の食品製造工場では、不特定多数の来場があり、来場者の安全を守ることが困難として、3、4月の「工場見学」を中止した。春休み期間もあるこの時期は、子ども会の行事などで多い年は1千人を超える来場者があるが、「安全を優先し、対応している」。

■建築

 ミサワホーム佐賀(本社・佐賀市)は、リフォームの申し込みに対し「工事が見込みよりも遅れる可能性がある」と伝えている。中国で生産している部品に加え、建具の一部でも供給が遅れるなど、納期未定の状況が続く。影響は20~30件に及ぶ。

■不動産

 県宅地建物取引業協会の指山広樹地域振興委員長は「異動シーズンで一番物件が動く時期だが、来客が伸びていないとの話が入っている」。全国転勤がある企業の異動が遅れ気味となっている様子がうかがえるという。「入居を見込みリフォームをしたが、本当に異動があるかが分からないケースも。入居申込書を確実に書いてもらうまで安心できない」

■美容

 県美容組合によると、卒業式の中止に伴い、着付けやセットのキャンセルが増えている。多い店舗では半数がキャンセルに。小中高の臨時休校に伴い、美容院に出掛けることが困難になった人も多く、普段のカット、パーマの予約も平年の2~3割減少している。「いつまで続くのか、先が見通せない」との声が上がる。器具の消毒が法律で定められているが、消毒液の品薄状態が続き、不安要素が増えている。

■ブライダル

 県内で式場を展開する各社は共通して「近日挙式予定の新郎新婦から、日延べやキャンセルの相談が増えている」が、「予定通り実施する人がほとんど」という。

■スーパー

 外食より自宅で食べる傾向や休校で給食が休みとなり弁当を作るといった保護者もいて、総菜だけでなく、肉や野菜、魚など食品全体で売り上げが伸びている。日持ちする食材や簡単に作れるレトルト、インスタント、冷凍食品、菓子、米のまとめ買いが目立ってきた。ヨーグルトや納豆の売れ行きも良い。

■書店

 「授業がなくなり、学習できなかった分が心配」と週末を中心に、保護者が学習ドリルを買い求める動きが出ている。佐賀市内の書店によると「売り上げは例年の3~4倍」。1年分の総復習ができるドリルが人気という。このほか、漫画本のまとめ買い、絵本も売れている。

■家電量販店

 佐賀市のエディオン佐賀本店では、花粉やインフルエンザ対策で例年売れる空気清浄機の売り上げが1・5倍と伸びている。「次亜塩素酸による除菌をうたった商品が人気で、市場から商品がない」。37・5度の熱が4日以上続いた場合という受診の目安が示されたこともあり、体温計も売れている。「非接触式は7月までに入荷するかどうか」といい、接触式も品薄状態。3月2週目の週末は昨年に比べ客数は4割減で、ほぼ全員がマスク姿と、「新型コロナへの警戒はますます強くなっている印象」だ。

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