「傾聴」と題した川端杏佳さんの作品に見入る有田セラミック分野の4年生=有田町の佐賀大学有田キャンパス

ナスをモチーフにした奥田美帆さん(左)の作品(手前)と、杢目金の模様を色泥しょうで表現した向窪梨乃さんの作品(奥)=有田町の佐賀大学有田キャンパス

 有田町にある佐賀大学有田キャンパスで学んだ最初の卒業生が今春、旅立つ。芸術地域デザイン学部芸術表現コースの有田セラミック分野の12人で、インターンシップなどを通して地元の窯業関係者らとも交流。新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、地元での卒業制作展が中止となり、「お世話になった人たちに見てもらいたかった」と残念がっている。

 同大学は2016年、県立有田窯業大学校と統合し、芸術地域デザイン学部を発足させた。有田セラミック分野の学生は、2年次から主に有田キャンパスで学んだ。学部全体の卒業制作展は2月に佐賀市で開かれたが、3月3~8日に県立九州陶磁文化館で予定していた同分野単独の卒業制作展は断念せざるを得なくなった。

 卒業制作は1年かけ取り組んだ。奥田美帆さん(23)の作品は食器のシリーズ。大勢で食事をしても自分の器の見分けがつくよう、色や形の種類が豊富なナスをモチーフにした。大学の研究課題では飲食店と交渉し、デザートの器を実際に使ってもらう経験もした。AI(人工知能)による熟練技術の継承事業を展開する企業に就職する。

 向窪梨乃さん(22)は、金属加工技術の「杢(もく)目金」の模様を、色泥しょうで表現した食器類を制作。将来は焼き物の型やデザインを担いたいと、県窯業技術センターの研修生になる。

 下田華与さん(22)は、森や街並みのシルエットが浮かぶ焼き物のライトを作った。「焼き物のことを教えてくれた有田陶交会の人たちに見てほしかった」。焼き物作家を目指し、有田工高聴講生として技術を高める。指導した田中右紀教授は「成長が分かる卒業制作になった。きちんと力を出してくれ、思っていた以上の成果」と評価した。

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