この間まで78歳がリードしていたかと思えば、今度は77歳が巻き返す。11月の米大統領選でトランプ氏に挑む候補者選びを見ていると、洋の東西を問わず選挙の主役は高齢者かと、複雑な気分にさせられる◆歴史をひもとけば、世界恐慌さなかの1932年の大統領選を勝ち抜いたF・ルーズベルトは就任演説で国民にこう語り掛けた。「われわれが恐れなければならないものはただ一つ、恐れそのものだ」。社会科の教科書にも出てくる「ニューディール政策」が恐慌対策の特別議会に提案されたのは33年のきょうである◆未知の新型ウイルスにいま、世界経済が動揺している。各国市場で株安が連鎖する「コロナショック」が進む。県内でも訪日客の激減や相次ぐイベントの中止、宴会の自粛などで地域経済への打撃は大きく、冷えた消費者心理は景気悪化に拍車をかけかねない◆再び歴史をたどれば、ニューディールで失業対策や通貨統制などを次々に打ち出したルーズベルトには厳しい評価もある。「失敗を帳消しにするため、日米開戦に踏み切ったのだ」と。トランプ流の自国第一主義が幅を利かせる時代に、過去からの教訓は重い◆ナポレオン侵略戦争の時代を生きたスペインの画家ゴヤはこんな言葉を残した。「理性の眠りは怪物を産む」―怪物とは疫病だろうか、市場心理だろうか。(桑)

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