無名塾「ぺてん師タルチュフ」のワンシーン。左が仲代達矢(提供写真)

 佐賀市民劇場の例会が2月27~29日、佐賀市文化会館で開かれ、名優仲代達矢(87)率いる劇団「無名塾」がモリエールの傑作喜劇「ぺてん師タルチュフ」を上演した。仲代が約60年上演を熱望し続けた舞台で、変幻自在な貫禄の演技を見せた。

 同作は1950年代に俳優座が上演し、仲代の師匠千田是也が主人公のタルチュフを演じた。敬虔(けいけん)な宗教家にふんした詐欺師タルチュフが、資産家の男に取り入って男の家族や財産をかすめ取ろうとする。

 タルチュフが登場するまでの約45分間、登場人物たちのせりふが観客のタルチュフ像を膨らませる。満を持してタルチュフが姿を現した時、会場からは大きな拍手がわき起こった。

 だらしなくひょうひょうとしたタルチュフ。話が進むにつれ、滑稽に見えていたその横顔が、得体の知れない怪物に変化していく。大団円のラストを前に舞台を去るタルチュフは、哀愁漂う矮小(わいしょう)な老人に見えた。

 演出家の髙橋和男が「出るだけで“映画”になる」と存在感を絶賛する仲代の、圧倒的オーラは健在だ。仲代は「大いに笑って」とメッセージを送る。

 市民劇場の4月例会は栗原小巻が登場し、6月には憲法の誕生を追う「グレイクリスマス」が上演される。問い合わせは同劇場事務局、電話0952(26)0791。

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