香り高い生地に白あんがたっぷり入った伊万里焼饅頭。上部の「かんにゅう」に独自の工夫が施されている

 じっくり焼き上げた香り高い生地の中に、ほっくりした白あんがたっぷり詰まっている。伊万里焼の湯飲みの形を表しているので、「伊万里饅頭(まんじゅう)ではなくて、“伊万里焼”饅頭」。胴に巻いたセロハンは唐子(からこ)、青海波(せいがいは)など伝統的な絵柄4種類のいずれかで、ふたの位置に施した“ひび割れ”は、陶磁器のうわぐすりにできる「かんにゅう」という細かいひび割れを再現している。かんにゅうを入れるのは手作業で、企業秘密という手のかけようだ。

 ヨーロッパの王侯貴族に愛された伊万里焼が積み出された港のすぐ近く。「伊万里の文化や歴史が息づく菓子が作れないか」と先々代の社長が戦後の昭和26(1951)年に発売した。物資が乏しかった時代、バターなども取り入れた和洋折衷で作り上げ、以来69年にわたり愛されてきた。1個130円(税込み)。時代の好みに合わせて変化し、誕生時に比べると今は小ぶりで甘さ控えめという。

 一昨年春から、伊万里市の日南郷(ひなたごう)で栽培されたお茶を使った緑茶味を発売。あんの柔らかさや甘さは現代風にアレンジし、「若い人にもずっと食べてもらえたら」と堀江あさ子社長(61)。来店客とは顔なじみで会話も弾み「長い歴史は地元の方に食べていただいているからこそ。伊万里の皆さんあっての伊万里焼饅頭だと思っている」と堀江社長は言う。

 

▽伊万里市伊万里町甲585

▽営業時間 9~19時

▽元日のみ休み

▽電話0955(23)1515

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