〈さわやかに恋をして さわやかに傷ついて さわやかに泣こう〉。歌手の水前寺清子さんが主役を演じ、主題歌も歌ったドラマ「ありがとう」。1970年にスタート、民放のドラマ史上最高となる視聴率56・3%をたたき出す「お化け番組」となった◆小柄な体と本名を組み合わせて「小さな民子さん」。略してチータ。水前寺さんの愛称である。最近もテレビでお見かけするが、74歳の今もとてもお元気そうだ。代表曲「三百六十五歩のマーチ」が始まるとステージがパッと明るくなった。〈三歩進んで二歩さがる〉の一節を知らない中高年はいないだろう◆ドラマの放送開始からちょうど50年。水前寺さんの相手役だった石坂浩二さんも70代で現役である。戦後の混乱期から高度成長期を経験しているからだろうか。今の70代の方は本当にはつらつしている◆あす3月9日は数字の語呂合わせのサンキューから「ありがとうの日」。「努力」「誠実」「思いやり」といった言葉と並び、日本人が好きな言葉である。だが、ストレートに口にするには気恥ずかしく、なかなか言い出せない◆〈さわやかに見つめあい さわやかに信じあう 今日も明日もありがとう〉。感謝の心を届ける水前寺さんの歌声にずいぶん励まされてきた。春というのに沈んだムード。チータの歌で吹き飛ばしたい。(丸)

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