新型コロナウイルスの感染拡大が日本でも世界でも進む。東京五輪は予定通りに開催できるのか。感染者数が発表になるたびに心配になる。

 3月12日にはギリシャのオリンピアで聖火の採火式が催される。国内の聖火リレーはその2週間後に始まる。もうすぐだというのに。

 国内での聖火リレーは、少なくとも序盤は多くの人が狭い空間に集まることがないよう、きめ細かな配慮をしてほしい。祝祭の雰囲気が多少損なわれたとしても、ここは我慢するしかないだろう。

 国際オリンピック委員会(IOC)は世界保健機関(WHO)、日本政府、東京五輪の大会組織委員会、東京都の5者で作業部会を設け、連携して対応に当たる態勢を整えたという。

 IOCはまた、五輪の出場権を争う大陸予選や国際大会が中止となった場合などでは、選手が不利益を被ることがないよう、関連する国際競技連盟と救済策を検討する考えを打ち出した。

 バッハIOC会長は不安をぬぐい去ろうと東京五輪の開催計画に変更はないと重ねて強調している。

 五輪開幕まで4カ月余り。まだ時間的な余裕があると楽観的に受け止めているわけはなく、いたずらに臆測を呼ぶような発言は控えたいと考えているようだ。

 イベントの開催が難しくなった日本ではプロ野球、サッカーのJリーグ、大相撲、選抜高校野球などが大会や試合の延期、あるいは中止、無観客での開催と苦渋の決断を続けている。

 私たちはこうした状況で、このような判断を目の当たりにしているから、IOC会長の発言を言葉通りには受け止められない。

 市民の多くは東京五輪の開催も宙に浮いたと受け止めているのではないか。感染拡大が減速し、終息に向かわない限り「計画通りに開催します」というのは無理がある。

 IOCは五輪から次の五輪までの4年間で、約5500億円の収入がある。冬季五輪や夏季と冬季のユース五輪も主催しているが、収入の大きな柱は何といっても夏季五輪だ。それも各国からの放送権料だ。

 夏季五輪が中止に追い込まれれば、五輪運動全体への打撃は計り知れない。IOCにとっては大きな経済的損失となるだろう。バッハ会長はだから、何としても通常開催にこぎ着けたいに違いない。

 世界の現状を見れば、IOCは今後、いずれかの時点で通常開催できるかどうか、最終的な判断をする必要があるだろう。判断に当たっては年内の延期、もしくは来年以降への延期も選択肢に入るのではないか。

 そのためにも、6月から7月にかけて開催される欧州サッカー選手権をはじめ、大規模国際大会が予定通り開催されるか、IOCは重大な関心を持って見つめるはずだ。

 五輪がかつて直面したことのない、人間の健康、それもときに最悪の事態となる深刻な問題だ。対応はどこまでも慎重でなければならない。

 IOCの最古参委員が先に指摘したように、5月末には最終的な判断をしなければならないだろう。日本の状況が大きく改善しなければ、過去に例のない延期も含め、IOCは柔軟に対応する必要がある。延期ではない完全な中止は絶対に避けてほしい。(共同通信・竹内浩)

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