嘔吐下痢症のシーズンです。乳幼児が下痢をして吐き、飲み物を受け付けなくなると途方に暮れてしまいます。子どもは体に占める水分の割合が大人よりずっと多いことに加えて、水分の出入りを調節する腎臓の働きが不十分なので脱水に弱いのです。赤ちゃんは特に脱水をおこしやすく、下痢や嘔吐が続くとすぐにぐったりとしてしまいます。

 脱水といっても、実際には水分だけでなく塩分も一緒に出て行ってしまいますので、塩分の含まれない湯冷ましやお茶だけを補充していくと電解質(ナトリウムやクロールなど)が不足してしまいます。嘔吐をしているときは、胃がとても敏感になっていて、けいれんしているような状態なので、水分を与えてもすぐに吐いてしまいます。病院では胃腸を休めるためにしばらく絶飲食にし、その間点滴で電解質の入った液を体の中に補充します(輸液療法)。その間に胃が落ち着いて飲めるようになります。

 しかし、多くの場合、点滴をしなくても自宅で対応することができます。湯ざましに食塩と砂糖、レモン果汁(かんきつ類果汁)を少量加えて、経口補水液を作ります(※)。ここからが肝心です。“小さじ一杯(5ml)を5分おき”に飲ませて下さい。吐き気が続いていても、微量だと胃を通過して小腸に流れて体に吸収されていきます。嘔吐、下痢は気にせず、“小さじ一杯(5ml) 5分おき”を続けてください。1時間で60ml、2時間で120mlが体に入ります。そのうち、しだいに吐き気がおさまり、自分から飲みたがるようになります。そうなれば、欲しがるだけゆっくり飲ませてください。少量でも排尿があればひと安心です。下痢がなければ、補液を始める30分くらい前に吐き気止めの座薬を使うともっと効果的です。

自宅でつくる経口補水液のレシピ 湯冷まし1Lに食塩3gと砂糖18gを加え溶解して、レモンなどを適当にしぼって加える。 ※薬局で乳幼児用の経口補水液を購入することもできます。スポーツドリンクは糖分が多すぎて、乳幼児の脱水治療にはあまり適していません。

 

浜崎 雄平(はまさき ゆうへい)
佐賀整肢学園 からつ医療・福祉センター顧問。佐賀大学名誉教授。
1948年、鹿児島県日置市生まれ。九州大医学部を卒業し、テキサス大やオクラホマ大研究員などを歴任。
84年から佐賀医大(現佐賀大学医学部)小児科講師として勤務し、00年に同大小児科学教授就任、09年から医学部長を兼任する。
14年から現職。専門分野は小児の呼吸器/循環器疾患、アレルギー疾患。

 

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