「カイト」 マイケル・モーパーゴ/作 ローラ・カーリン/絵 杉田七重/訳(あかね書房)

■幸せと平和を願う一冊
 「いいかい、チビすけ、にいちゃんはカイトを飛ばすたんびにいま空にあがっているのは自分だって思うんだ」
 ここはパレスチナのヨルダン川西岸地区。紛争(ふんそう)地帯で隣(となり)のイスラエルとは土地を巡(めぐ)り争っているため、フェンスや壁(かべ)で隔(へだ)てられています。映画(えいが)を撮(と)るために訪(おとず)れた主人公は、ある少年に出会います。戦争で大切な家族を亡(な)くし心に深い傷(きず)を負った少年は、話すことができません。けれど敵対(てきたい)している壁の向こう側にも平和を望む同じ人々がいることを知っています。少年は祈(いの)りを込(こ)めサラーム(平和)と書いたカイトを壁の向こうに飛ばします。
 少年の思いは壁の向こう側に届(とど)くのでしょうか。いまだ続く激(はげ)しい紛争の中、主人公は平和への一歩の奇跡(きせき)に遭遇(そうぐう)します。いつか壁がなくなり皆(みな)が幸せに生活できる日が訪れてほしい、そう願わずにいられない一冊(さつ)です。(利用サービス課 井手 由紀子)

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