4年ごとに2月の終わりが1日増える「うるう年」は、日本では明治5年、大隈重信が中心となって太陽暦を導入したことに始まる。1年はそれまでの太陰暦より11日ほど長くなった。〈一年三百六十五日、逢(あ)ふ日ふやした新(にい)暦(ごよみ)〉。当時、世間の混乱をよそに、相愛の男女は「逢瀬(おうせ)が増えた」と喜んだという◆新型コロナウイルスの感染が広がるなかで、学年末の休みが増えた子どもたちは、複雑な気持ちに違いない。全国すべての小中学校などの一斉休校を要請する、と安倍首相が打ち出した方針を受け、県内では3日から15日まで休校にするという。学校現場や家庭、地域に与える影響に心を砕いた判断だろう◆唐突すぎる政府のこうした対策は、かえって不安や混乱を広げかねない。近所のスーパーでは、マスク増産による紙不足のうわさから、トイレットペーパーやティッシュを買い求める人が相次いだ。いま、この国を覆っているのはパンデミック(感染爆発)ではなく、情報が不安をあおる「インフォデミック」である◆「うるう」を漢字でかけば「閏」。むかし中国で王が門の中に閉じこもり、政務を休んで静養したさまを表す。同じように巣ごもりしながら、ここ1、2週間が瀬戸際という感染症との闘いを見守るほかない◆不安な日々がこれ以上、暦に増えないことを願いながら。(桑)

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