二科会デザイン部佐賀支部(小路〈しょうじ〉久男代表)の第11回グラフィックデザイン展が、佐賀市で開かれている。九州各県の会員、会友による作品も初めて展示。時事問題を取り込んだり、素材の面白さを生かしたりと、23人が独創的なテーマ性と発想で制作した約80点を出品している。
代表の小路さん=佐賀市=は、感染が広がる新型コロナウイルスによる肺炎を題材とした3点。和紙を半球状に重ねてウイルスに見立てた「COVID-19」をはじめ、拡散、終息をイメージした作品も並べる。「世界で何が起こっているかを反映させるのもデザイナーの仕事。一刻も早い終息を願いながら制作した」
岸川正道さん(68)=同=は、近年手掛ける段ボールを使ったシリーズの「イラスト」。パネルに貼り付けた段ボールをはがして溝の部分をあらわにし、金と銅を塗るなどして2重らせん構造のDNAを表現した。幼少期から現在の自身の顔写真も織り交ぜ、紆余(うよ)曲折の人生を振り返る。
川原幸治さん(60)=同=は、長年テーマにする鉛筆がモチーフ。木工用ボンドと金、銀をそれぞれ混ぜ合わせた素材を使うなど、コンピューターとアナログを融合した独自の世界観が光る。
画像加工処理ソフトを使って、植物や機械を絵画風に仕上げた園こうじろうさん(63)=鹿児島県=や、しっくいにコラージュなどを施した佐土嶋文香さん(65)=福岡県=らの作品も目を引く。
※佐賀市城内の県立美術館3号展示室で、3月1日まで。入場無料。