「店で出す佐賀の酒は純米酒と決めている」という「味のれん はなお」の野中聖子店主。おいっ子・村岡透さんが手掛ける韓国料理も人気だという=佐賀市城内

 佐賀豪雨が発生した昨年8月末まで佐賀市水ケ江にあった「味のれん はなお」。床上70センチ超の浸水被害を受け同市城内の県庁南側へと移転し、約5カ月ぶりに営業を再開した。店主の野中聖子(しょうこ)さん(63)は「新天地でも安く、おいしく」を胸に、再び厨房で腕を振るう。

 小料理屋を始めて23年。その間に数回場所を変え、水ケ江では8年営んだが「2年に1回は水に漬かった。でもここまでの水害は初めて」と語る。当日は「雨の降り方や音が今までと違う」と不安に襲われ朝4時ごろ、店の裏の自宅で休む家族を2階に避難させた。真っ暗闇の中でせり上がってくる水は「命の危険を感じるほど恐怖だった」という。

 約5カ月もの間、無収入となったが、常連客からの差し入れや見舞金、義援金などに救われた。新店舗も人づてにタイミング良く見つかり、融資を受ける際も知人が力になってくれた。「つくづくいろんな人に助けられた」と振り返る。

 冷蔵庫のあり物も使った大鉢のおばんざいや、一年中あるおでん、ポテトサラダ、骨切りせずとも軟らかい小エツの南蛮などの人気メニューも健在だ。「安くておいしい物を食べてもらった後の『また来るね』が励み」と笑みをこぼす。

 移転先の本丸通り沿いは以前より人目に付く場所。県職員をはじめ昼営業を求める声もあるといい、「慣れた4月ごろから始めてみようかとも考えている」と話すその目は未来を向いている。電話0952(26)6613。

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